遠くて近い牛田駅と京成関屋、まっとうな東京下町の風景と千住貨物駅跡の間で灯る赤ちょうちん
東武線の線路がS字を描き、京成線の線路がちかくをまっすぐに貫く―――。
西武鉄道 池袋線と新宿線の接する所沢にもどこか似ている線形だけど、東武の駅は牛田駅、京成は京成関屋駅と名乗る“別物”。でもいまは連絡運輸を行うという仲。
近いようで遠い感じの東武伊勢崎線(スカイツリーライン)牛田駅と京成本線 京成関屋駅の関係。
そんな両駅の間には、いまも“まっとうな下町”の風景が広がっている。
まずは駅の間で店を構える「雑貨屋」(さいかや)。
2018年までは、ここに「冨士三屋」という立ち食いそば屋があった。この冨士三屋の跡地に開いたのが雑賀屋で、お花茶屋や北千住で「冷凍の食材を使わないこだわり。新鮮で全て無添加で手作り。この店では比内地鶏が食べられます」という店舗を展開するグループ店のひとつ。
少し歩くと、田中康夫が「まっとうな町の証」という魚屋もあったりして、東京のまっとうな下町の風景がすぐここから広がっている。
東武牛田駅と京成関屋駅の間の道を抜け、墨堤通りへと出る手前、伊第20号踏切道と東稲荷大明神の脇に灯る赤ちょうちんに、すーっと吸い込まれて……「いらっしゃい」「瓶ビールください」「はーい」。
実は日が暮れる前に、千住貨物駅へと続いていた貨物専用線の線路跡を見に行こうとしていたけど、この赤ちょうちんの誘惑に勝てず、ぺこぺこと頭を下げて「やきとり こんちゃん」ののれんをくぐる……。
お店に入ると、ピンクの電話。千住貨物駅のことはすっかり忘れて……じゃない。千住貨物駅の思い出をいろいろ店主が話してくれた。それだけで酒の肴。ありがとう。ごちそうさまでした。
次回は、その千住貨物駅跡を探す時間を。