国土交通省が2024年8月末、財務省に提出した2025年度政府予算の概算要求に、「北陸新幹線(敦賀~新大阪)の新規着工に要する経費」が事項要求の形で盛り込まれ、国交省や一部沿線自治体が目標としてきた2025年度着工が大きく現実化した。

長く足踏み状態が続いていた北陸新幹線敦賀以西の延伸に関しては、本サイトコラムの通り2024年6月、大まかなスケジュールが示された。

整備新幹線のルートや工程を決めるのは、「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(与党PT)北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会」。与党PTは2024年6月、「敦賀~小浜~京都~新大阪の駅位置を含むルートを2024年内に決定する」の基本方針を確認した。方針では、「2025年度末までの本格着工に向け、手続きを進める」のスケジュールが示された。

北陸新幹線(敦賀~新大阪間)の手続きに関する今後の流れ(国土交通省鉄道局の概算要求資料から)

これを受け、斉藤鉄夫国土交通大臣は会見で、「与党PTからは、2025年度予算の概算要求で北陸新幹線敦賀~新大阪間の新規着工に必要な経費を事項要求するよう要請されている」と発言。方針通り、概算要求に事項要求として盛り込まれた。

事項要求とは、翌年度予算の概算要求で金額を示さず事業項目だけを予算要望すること。政策の具体的メニューが未定で、政府・与党などの調整を待つ必要がある場合に採用される手法だ。

北陸新幹線の敦賀~京都~新大阪間に関しては、与党PTで国交省と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)から京都駅の位置などについて3案が示された。与党PTは関係自治体やJR西日本などにヒアリングして、2024年12月までに成案を得る。

与党PTは沿線自治体などに丁寧に説明するとともに、従来想定に比べ大幅に膨らむ見通しの工費(概算事業費)や工期の圧縮についても最大限努力する。

国交省は今回の概算要求で、整備新幹線整備事業費補助として国費803億7200万円(2024年度と同額)、事業費2658億円(2024年度は2275億円で16.8%増)を要望。さらに、北陸新幹線の施工上の課題を解決するための整備新幹線建設推進・高度化事業費などとして、19億2300万円(全額国費)を要求した。

記事:上里夏生