寸又峡で静かに眠る鉄道車両や駅舎……大井川鐵道千頭駅から足を伸ばして

2022.05.16

2022年はゴールデンウィークから「きかんしゃトーマス号」の運行を始めます、ということで話題になった大井川鐵道。金谷~千頭駅間は本線で、千頭駅からは「南アルプスあぷとライン」こと井川線が伸びており、(現在は)日本で唯一のアプト式を楽しめる区間となっています。

井川線には奥大井湖上駅など素敵な駅も多く、せっかく千頭駅へ来たんだからこっちにも足を伸ばしてみようかな……と思うのは鉄道ファンに限った話ではないのでしょう。トーマス号運行初日の4月29日は雨だったにもかかわらず、千頭駅は大変な賑わいで、井川線へ向かう家族連れの姿も。自分の乗った車両は座席が半分ほど埋まっており、アプトいちしろ駅での機関車連結時は、十数名の乗客が車外に出て作業の様子を観察していました。

でも、実はこのあたりの鉄スポットは「井川線」だけではありません。千頭駅からバスで行ける有名観光地にも意外な「鉄の名所」がありました。

千頭森林鉄道の保存車両がお出迎え

絶景スポット「夢のつり橋」で知られる観光地・寸又峡(すまたきょう)は、大井川鐵道千頭駅から「寸又峡線」(路線バス)で約40分。「寸又峡温泉入口」で降りると、こんな保存車両が待ち構えています。

「木材輸送の台車」でピンと来る方もいらっしゃるかも。この寸又峡温泉入口の「屋根のない資料館」に保存されていたのは、かつて千頭山国有林から伐採した木材を運搬するために使われていた千頭森林鉄道の車両です(黄色の車両は作業員輸送の客車)。

説明書きには「国有林内の七十八万立方米の木材を搬出し昭和四十三年四月完全にその役割を果し終えました」とあり、総延長や軌間、最急勾配などの情報が記されています。さらに調べてみると、井川線とは沢間駅で接続していたようで、千頭駅まで乗り入れていたようです。

車両はここだけではなく、「夢のつり橋」から徒歩数分の尾崎坂展望台にも保存されています。また、寸又峡温泉入口から「夢のつり橋」方面へと歩いていくと、静かに眠るかつての最前線基地、千頭森林鉄道「大間駅跡」も見つかります。最初から当たりをつけておけば、周遊コースをめぐるついでに2時間ほどで見て回れるでしょう。

満喫するなら宿泊がおすすめ

大井川鐵道の「井川寸又峡周遊きっぷ」、本線も含めて2・3日間有効の「大井川周遊きっぷ」もあり、乗り潰しや観光に大変便利です。電子チケット版も販売されています。

寸又峡線は本数が少なく、大井川鐵道と路線バスの組み合わせで日帰りしようとするとなかなか難しいのも事実。たとえば「トーマス号で千頭へ行き、千頭から寸又峡、夢のつり橋を渡って千頭へ戻り、今度は井川線を往復し……」という予定を組むのは現実的ではありません。

幸いにして大井川鐵道は簡単に元が取れるお得な企画乗車券を発売しているので、寸又峡での宿泊などと組み合わせてゆっくり回るのが良いでしょう。「川根温泉ホテルのトレインビューの部屋から大井川鐵道の列車を撮る」というプランも捨てがたいのですが、たまには自然に浸るのもいいものです。

寸又峡の老舗「翠紅苑」(※撮影をご快諾いただきました)
寸又峡「夢のつり橋」1度に渡れるのは10名までという絶景ポイントです

筆者は28日に寸又峡の老舗「翠紅苑」に泊まり、翌朝「夢のつり橋」を回ってから井川線を巡るコースで楽しんできました。尾崎坂展望台にも行きたかったのですが、途中で雨が降って来たので取り止めて「大間駅跡」の向かいにある「手造りの店 さとう」で小休止。名物の「山いも餅」と「夢のつり橋サイダー」をいただくことに。

モチっとした食感と甘じょっぱいタレの辛みが最高です

店内には車で来たらしいカップルの姿もあり、お店の方とお話ししながら、今年は「制限なし」GWで観光客が戻りつつあるのだなぁ……と実感した次第です。

記事:一橋正浩


LINEで送る

オススメ記事