西九州新幹線まもなく開業!サイドストーリーで売り方、乗り方を考える JR九州が目指すはリピーター確保【コラム】
嬉野茶の地域振興プロジェクトや雲仙の在来種野菜直売所運営者にAWARD表彰
JR九州も、その辺はよく理解しているようです。同社の考え方を表すのが、2022年9月9日に表彰式が行われた「西九州観光まちづくりAWARD」。審査委員長を務めた古宮社長は、東京・千代田区での会見から六本木に移動して、AWARDのプレゼンターを務めました。
大賞を受けたのは、佐賀県嬉野の伝統産業・嬉野茶や肥前吉田焼で地域振興を図るプロジェクトチームの「嬉野茶時(うれしのちゃどき)」。もう一件は、長崎・雲仙で在来種野菜の直売所を運営する奥津爾(おくつちかし)さんです。
審査委員長を務めた古宮社長はあいさつで、「新幹線の開業効果を一過性に終わらせることなく、リピーター化したい」と、ここでもリピーターのフレーズが飛び出しました。
ゲストに華丸・大吉さん
ADVERTISEMENT
AWARD表彰式にサプライズでゲスト出演したのは、JR九州の新幹線観光プロモーション「西九州開店」のイメージキャラクターを務める、お笑いコンビの博多華丸・大吉さん。
「西九州開店キャラクターの福山雅治です」のジョークで、会場を笑いの渦に包みました(ご存じの方も多いと思いますが、福山さんは長崎市出身です)。
西九州新幹線、元は「>形ルート」だった!?
コラム後半の「西九州新幹線どう乗る」に移る前に、少々のスピンオフ。「西九州新幹線はなぜ、こんなルートになったのか」を解き明かします。
武雄温泉―長崎間の線形は、大きくは「L形」(もちろんカーブもありますが)。武雄温泉から諫早に南下し、そこから西方に向きを変えて長崎にいたります。合理的な最短ルートですが、国鉄時代にさかのぼれば、起点(あくまで部分開業のです)は武雄温泉ではなく、21キロほど西方の早岐でした。
「早岐経由では期待した時間短縮効果が得られない」(JR九州)
難読駅名の一つ・早岐(はいき)は、長崎県佐世保市。そう、当初の西九州新幹線(当時は九州新幹線長崎ルートでしたね)は、佐世保、長崎の長崎県内2大都市を結ぶルートでした。
早岐経由としたのは多分に政治的理由があったのですが、民営化後のJR九州は「早岐経由では所要の時間短縮効果が得られず、収支改善効果も見込みにくい」と難色を示しました。その結果、武雄温泉経由の〝短絡ルート〟が採用されたのです。
仮に西九州新幹線が早岐経由にだったら……、線形は「L形」でなく「>形」だったかもしれません。新幹線への初乗りをご計画中の皆さん、一足伸ばして早岐に立ち寄り、「もしもこの駅に、新幹線が走っていれば」と思いをはせるのも一興かもしれません。