長崎駅で行われた西九州新幹線「かもめ」出発式の様子(写真:JR九州提供)

2022年9月23日(金・祝)、武雄温泉~長崎駅間(66キロ)を結ぶ西九州新幹線が開業し、各駅で開業記念式典や出発式が行われました。長崎駅では6時17分発の一番列車「かもめ2号」武雄温泉行きにあわせ、一日駅長に任命された長濱ねるさんと萱嶋創長崎駅長が出発合図を行いました。

西九州新幹線に使用される車両は、東海道新幹線で2020年にデビューした「N700S」です。16両編成から6両編成に短編成化し、基本仕様はほぼそのままに外観のカラーリングと内装を変更、愛称は在来線特急から継承した「かもめ」としました。導入された4本の「かもめ」たちは武雄温泉駅で在来線特急と対面乗り換えを行うリレー方式により、博多~長崎駅間を最速1時間20分で結びます(武雄温泉~長崎駅間は最短23分)。

JR九州の古宮洋二社長は主催者代表挨拶の中で、西九州新幹線の開業にあたって考えていることとして、「交流人口」「定住人口」の増加を挙げています。また、斉藤鉄夫国土交通大臣は来賓祝辞で未着工の「新鳥栖~武雄温泉駅間」の在り方について、「引き続き関係者とともに議論を積み重ね、新幹線ネットワークのさらなる充実に努めてまいります」と言及しました。

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九州で新幹線が開業するのは2011年の九州新幹線全線開業以来、およそ11年ぶりのこととなります。長崎駅には早朝にもかかわらず多くのファンが詰めかけ、「かもめ」のデビューを祝いました。

D&S列車「ふたつ星4047」も運行開始

「ふたつ星4047」出発式の様子

西九州新幹線「かもめ」と同時に、武雄温泉~長崎駅間で新たにD&S(デザイン&ストーリー)列車「ふたつ星4047」が運行を開始しました。

D&S列車は平たくいえばJR九州が運行する観光列車のこと。「ふたつ星4047」は午前便と午後便で異なるルートを運行し、朝は有明海を、夕方は大村湾を楽しめる列車となっています。

内陸を走る西九州新幹線はその6割がトンネル区間にあたり、ところどころ大村湾などが見えることはあるものの、眺望に期待する列車ではありません。「速く」「快適に」「大勢の」乗客を運ぶ車両です。

一方の「ふたつ星4047」は観光に特化した列車となっており、視覚や味覚で佐賀・長崎の魅力をゆっくり楽しむことができます。「かもめ」と「ふたつ星4047」は、かつて長崎本線の在来線特急「かもめ」が担っていた役割を分離し、コンセプトを尖らせたものとも言えるでしょう。

長崎駅では午後便の出発式が行われ、デザイナーの水戸岡鋭治さんが登場。今回の「ふたつ星4047」について、「新幹線『かもめ』をサポートし、応援する車両としてデザインしてきました」といい、そのコンセプトなどを解説しました。大石賢吾長崎知事は「午前と午後、有明海と大村湾。別の景色を楽しめる列車」「みなさん一人一人に合った旅を楽しんでいただきたい」と語り、新幹線と組み合わせた旅の楽しみ方なども提唱しました。

記事:一橋正浩

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✳︎2022年9月24日5時13分追記……掲載内容の人名に一部誤りがございましたため修正いたしました(鉄道チャンネル編集部)