SL大樹の鬼怒川線は「レトロ化」

パネリストとして登壇した藤井西武鉄道本部長、立山小田急交通サービス事業本部長、鈴木東武鉄道事業本部長=写真左から=(写真:運輸総合研究所)

車両や運転で、さらなるイメージアップと業務効率化を披露したのが、東武鉄道の鈴木孝郎取締役常務執行役員・鉄道事業本部長です。

線区イメージアップでは、「SL大樹」が走る鬼怒川線各駅を〝昭和レトロ化〟。駅舎をクラシック調にリニューアルしたり、駅名標レトロ化も進めます。昭和レトロの駅でSLをバックにスマホショット、インスタ映え時代にあわせた利用促進策です。

2017年から運行を始めた「SL大樹」。東武は鬼怒川線の昭和レトロ化に取り組みます(写真:鉄道チャンネル)

効率ではワンマン運転に言及。同社の路線は463キロ。そのうち200キロ以上の区間でワンマン運転を実施しており、今後も安全を確保した省力化を目指していく方針です。また新型車両では、2023年7月にデビューする「スペーシアX」について、従来車に比べ消費電力を大きくカットした環境性能を強調しました。

自動運転採用時に乗務員の処遇は

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自動運転も今後の各社共通の経営課題ですが、東急電鉄の城石文明取締役副会長からはこんな発言も。「自動運転の実用化時、乗務員の処遇をどうするのか」。

確かに、現在の鉄道運転士は「動力車操縦者運転免許」という国家資格を持ち、試験に合格することがモチベーションになっています。一定の将来とは思いますが、資格制度が変更された場合、運転士(この職名がなくなるかもしれませんね)の社内的処遇をどうするのか。鉄道会社にとっては、避けて通れないテーマなのでしょう。

子どもIC運賃で利用は1.5倍増

西武鉄道の藤井高明取締役常務執行役員・鉄道本部長からは高齢化社会に対応するホームドア整備、小田急電鉄の立山昭憲取締役常務執行役員・交通サービス事業本部長からは2022年3月からの「子どもIC運賃50円」で、子ども利用客が1.5倍に増えたことなどが披露されました。

さらに、業界全体に共通するテーマが、電力料金高騰への防衛策。航空やトラック業界で定着する、燃料費の値上がり分を運賃に上乗せする「燃油(燃料)サーチャージ」の鉄道業界への導入が複数社から提起。「自動運転のように鉄道業界に共通する課題には、業界が一致協力して取り組む必要がある」の声も、各社から出されました。