※画像はJR西日本ニュースリリースから

2023年1月24日夜の大雪により、JR京都線などで電車が立ち往生し、乗客が長時間閉じ込められる事態が発生しました。この問題を受け、JR西日本は25日、事実関係を発表。「ご利用のお客様に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。

24日夜に何が起きていたのか

JR西日本の発表によりますと、24日19時頃に向日町駅構内で分岐器転換不能(ポイント不転換)が発生。これを受け20時頃に列車の発車を見合わせましたが、その後も山科駅構内・京都駅構内の複数個所で同様の事象が発生していることが確認されました。

行き先を切り替える分岐器が雪などで凍結すると、列車は動けなくなります。指令所から各箇所の分岐器操作を試みたものの適わず、その後の分岐器の除雪と解凍にも時間を要したことで、山科~高槻駅間において合計15本の駅間停車列車を発生させることになりました。

そのうち2列車については「23時頃からお客様に降車いただき最寄り駅等まで歩いて移動いただきました」といいます。上記以外の構内においても、降雪による分岐器転換不能により、3列車の駅間停車が発生。JR西日本が把握している限り、緊急搬送された乗客は16名です。

分岐器転換不能の原因は、社内で定めた融雪機の点火目安を上回る降雪があったため。乗客の誘導が遅れたことについては、「夜間の降雪の中でお客様に列車から降りていただくことに躊躇し、お客様に降車いただく判断を行うまでに長時間を要したため」としています。

急な降雪、雪の線路を歩く危険性……

なぜこのような事態が生じてしまったのか。考察してみましょう。

まずは当時の積雪状況を見てみます。気象予測では京都の降雪量は8センチほどでしたが、実際にはこれを大きく上回り、最大15センチの積雪が観測されています。

気象台が京都市、福知山市、舞鶴市、綾部市、南丹市、京丹波町に大雪警報を発表したのは15時6分。17時まで積雪がないなか、17時から18時にかけて突然7センチの積雪が観測されています。この急な降雪も判断を難しくした要因の一つでしょう。

また、線路を歩くのは明るい日中であっても大変危険な行為です。夜間、しかも雪が降るなか乗客の避難誘導を安全に行うのは困難であり、怪我人が大勢出てしまう可能性もあります。乗客を安全な車内に残し、先にポイントの修理に着手するという判断には一定の合理性が認められます。

それでも車内に大勢の乗客を閉じ込めてしまう結果となったのは事実です。すでに国交省の指導が入ったという報道もありますが、JR西日本はこれを重く受け止め、再発防止に努めることになるでしょう。

<参考>
分岐路ポイント不転換、車輪とブレーキの凍結による傷…JR北海道の降雪季対策
https://tetsudo-ch.com/10980679.html