JR北海道は、冬の降雪期、ポイント不転換や、駅・駅間における吹きだまり、車輪キズに対しても対策を打つ。

これまで鉄道チャンネルでは、JR北海道の降雪期の除雪車作業や人力作業について伝えてきた↓↓↓
◆冬の線路を守る、JR北海道の除雪車 除雪装置たち 128台の種類と仕事
https://tetsudo-ch.com/10976381.html
◆1日あたり1100人規模! JR北海道が人力で除雪する作業の過酷な現実
https://tetsudo-ch.com/10975145.html

今回は、線路の分岐・合流を司る、ポイントの凍結や、駅構内の雪だまり・吹きだまり、車輪とブレーキパッドの固着でできるキズなどについて。

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まずポイント部分。降雪地のポイントには、列車の通過前や通過後に進路を変更するためポイントを転換するさい、氷塊や雪が間にはさまることで、可動部が正常に動作せず、信号機が青にならない「ポイント不転換」が起こる。

このポイント不転換が発生すると、係員による復旧作業を行う必要で、復旧に長い時間を要し、列車遅延やダイヤ乱れを及ぼすことから、複数の対策を施している。

ポイントマットヒーターや融雪ピットでポイント不転換対策

◆ポイントマットヒーター

ポイントマットヒーターは、ポイントのマクラギ間で、雪が詰まることでポイントがきちんと動かなくなりやすい部分にマットヒーターを敷設、ポイント部の凍結を防止する。

おもな設置箇所は、新幹線 奥津軽いまべつ駅、湯の里知内信号場など計15か所。在来線は札幌駅、岩見沢駅、苗穂駅など計238か所。新幹線・在来線あわせて253か所

◆ポイント融雪ピット

ポイント融雪ピットは、ポイント下部にコンクリートで箱型の空間(ピット)を設け、雪などを落とし込む構造。ピットの底部に敷いたマットヒーターで徐々に融雪し、ポイント不転換を防止する。

おもな設置箇所は、新幹線 新函館北斗駅、木古内駅、奥津軽いまべつ駅など計14か所。在来線は岩見沢駅、旭川駅、手稲駅、札幌運転所など計63か所。新幹線・在来線あわせて77か所。

◆圧縮空気式除雪装置

圧縮空気式除雪装置は、ポイント転換時などに、圧縮した空気を吹き付けることで介在する氷塊などを吹き飛ばし、ポイント不転換を防止する装置。新幹線のポイントにはクロッシング部後端噴射ノズルなども装備する。

おもな設置箇所は、新幹線 新函館北斗駅、奥津軽いまべつ駅など計47か所。在来線は札幌駅、手稲駅、南千歳駅など計100か所。新幹線・在来線あわせて147か所。

防雪柵を設置し吹きだまり対策、2020年度も新設中

駅・駅間での吹きだまり対策は、全道各地に防雪柵を設置し、暴風雪や地吹雪による線路上の吹きだまりを防止する。

おもな設置箇所は、函館線 江別~豊幌、札沼線 あいの里公園~石狩太美、宗谷線 抜海~南稚内など合計延長62.5km。

2020年度新設箇所は、函館線 豊幌~幌向、根室線 新得~十勝清水 合計延長0.3km。

車輪とプレーキパッドの固着で発生する車輪キズへの対策

車輪と制輪子(ブレーキパッド)が凍結で固着した状態で列車が動き出すと、車輪が回転せず、車輪踏面(レールに接する部分)が削られてキズが発生する。

この車輪キズが、一定の大きさを超えるキズが発生してしまうと運転できなくなる。発生を最小限におさえるため、JR北海道では、制輪子の凍結固着防止対策をとっている。

運転に支障をきたすサイズの車輪踏面のキズは、在姿車輪旋盤装置を使い削正。この装置を札幌運転所(2台)、函館運輸所(1台)、釧路運輸車両所(1台)に配備し、車両運用の安定化を図っている。