水素利活用計画のイメージ(画像:JR西日本)

JR西日本は12日、水素利活用実現に向けて検討を進めると発表しました。

これは同社が2021年4月に策定した環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」のうち、「地域との連携による脱炭素社会実現への貢献」および「新技術による鉄道の環境イノベーション」に資する取り組みとして位置づけられています。

同社の検討する水素利活用の計画は、駅などの鉄道アセットを活用した「総合水素ステーション」を設置し、燃料電池列車やバス、トラック、乗用車に対する水素供給やJR貨物による水素輸送の拠点として活用するというもの。

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自治体や企業とも連携し、グリーンで持続可能な交通ネットワークを実現。JR西日本が水素のプラットフォーマーとなることで、地域の水素利活用展開およびCO2排出削減への貢献を目指すとしています。

地域連携による水素利活用については、同社はかねてから兵庫県の産官学連携組織である「播磨臨海地域カーボンニュートラルポート推進協議会」に参画し、検討を行ってきました。その内容は同協議会においてこのたび策定・公表された「播磨臨海地域カーボンニュートラルポート形成計画骨子」に反映されています。

燃料電池列車導入に向けた開発

現在JR西日本管内では、軽油を燃料とするディーゼル車両(気動車)が走行しています。この将来的な置き換えを目指し、「燃料電池列車」導入に向けた開発を実施していくとも発表されました。

同社はすでに、2030年ごろをめどに、ディーゼル車両の燃料を次世代バイオディーゼル燃料に置き換えるという目標を打ち出しています。2023年度からはDEC700形やキハ40を使用した走行試験を始め、2025年度以降に本導入する予定です。

<関連記事>JR西、DEC700などで「次世代バイオディーゼル燃料」実証試験へ

2022年8月のJR西日本社長会見では、

「ディーゼル車両においては、新技術による鉄道の環境イノベーションとして、将来的にはカーボンフリーの次世代車両への転換を検討しつつ、それまでの打ち手として、現在使用している軽油燃料を「次世代バイオディーゼル燃料」に置き換えることで、ディーゼル車両のCO2排出量を『実質ゼロ』とする検討を進めてまいりました」

と発表されており、あくまでも検討段階ではありますが、将来的には燃料電池列車が次世代車両として登場するかもしれません。なお、燃料電池列車の導入は「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」における「新技術による鉄道の環境イノベーション」に位置付ける取り組みとされています。