コワーキングスペースの半個室でマッサージを受ける「ボディケア」サービス。筆者も実際に体験し、肩ではなく手の方を重点的に揉んでいただき、肩が軽くなりました。新幹線の移動で疲れた身体に効きそうです

東海道新幹線の乗車前後を通じてシームレスに仕事ができるよう、駅や車内のビジネス環境整備に取り組むJR東海――

最近では新幹線停車駅にワークブースを作ったり「のぞみ」7号車をビジネス車両にするなど、ビジネスパーソン向けのサービスがどんどん充実しています。移動制限もなくなり出張需要が戻りつつあるなか、コロナ禍で実装されたサービスを実際に体験された方も多いことでしょう。

そんなJR東海ですが、スタートアップ企業3社とコラボし、東京駅直上の「EXPRESS WORK-Lounge」で出張時間を有意義にするサービスを試行しています。サービス内容は荷物預かりからボディケア、靴磨き、アートの掲出など様々。どのようなものか実際に体験してみました。

「EXPRESS WORK-Lounge」とは

「EXPRESS WORK-Lounge」室内の様子(写真提供:JR東海)

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東京駅直上「丸の内中央ビル」11階にあるコワーキングスペース。個室、半個室、オープン席、会議室が用意されています。利用にはEXサービスへの入会・登録に加え、「EXPRESS WORK」の会員登録が必要。営業時間は平日8:00~20:00(※お盆年末年始など除く)。

EX’RESS WORK-Lounge/Officeの場所

疲れた身体にボディケア、客先へ行く前に靴磨き

靴磨きサービスイメージ。実際の提供時は空いている半個室などを使用します。客先へ行く前に革靴を綺麗にしておきたい、といった需要に応えてくれそうです

まずご紹介するのはOfficefactionの提供する「出張の合間に自分を磨く日替わりサービス」です。出張や商談の前後に靴磨き・ネイルケア・ボディケアなどで「自分を磨く」というものです。サービス内容は日替わりで、時間と料金は次の通りです。

月曜日:靴磨き(20分) 3000円/回
火曜日:ネイルケア&ハンドケア(20分) 2000円/回
水曜日:マインドフルネス(20分) 2,000円/回
木曜日:ボディケア(10分) 1,000円/回
金曜日:コーチング(30分) 2,000円/回

【実施期間】2023年8月28日~9月1日、9月25日~29日
【利用方法】Officefactionの専用サイトから利用したいサービスを予約・決済

利用のイメージとしては、靴磨きなら「EXPRESS WORK-Lounge」入室後に靴を預けて自分のスペースで仕事しながら仕上がりを待ち、ボディケアなら半個室で椅子に座ったまま肩や手を揉み解してもらう、という感じ。わざわざ専門のお店に行かずとも空き時間にさっと利用できるのが強みです。

Officefactionは2020年8月に創業したスタートアップ。テレワークが出来るようになった今「なぜ出社しなければならないのか」とジレンマを抱えている従業員に対し、経営陣はリアルのコミュニケーションを求めます。

このギャップをニーズと捉え、会社やシェアオフィスなどの空いているスペースでサービスを提供して「出社したくなるオフィス」を作ったり、コワーキングスペースの体験価値を向上させるのが同社の使命。なお、樋口代表取締役によれば、過去の例では「ネイルケア」は女性より男性に人気があったそうです。

若手クリエイターの素敵な作品との出会い

展示作品例。半個室にそれぞれ異なる作品が掲出されており、隣のQRコードから販売サイトへアクセスして購入することもできます

気軽にアートと繋がれるマッチングサービスを提供するのが、昨年11月に創業したNeeeW Localです。新進気鋭の若手アーティスト・クリエイターの素敵な作品を大手企業のオフィスや鉄道事業者の施設・商業施設等で展示販売します。

【実施期間】2023年8月1日~10月31日

「EXPRESS WORK-Lounge」では半個室でサービスを提供。「会いにいこう」をテーマにしたアート作品を掲出します。利用者が仕事中にふと上を見上げれば、各個室ごとに異なる作品が設置されており、ちょっとした心の安らぎを得られたり新たなアイデアが浮かぶこともあるかもしれません。

作品のキャプションには二次元コードが掲出されており、スマートフォンで読み込めば同社のECサイトへアクセスし、気に入ったアートをその場で購入することもできます(配送は後日)。

NeeeW Localによれば、アーティスト・クリエイターは個展やInstagramで発掘されるそうで、現在は20代~30代の若手が50名ほど加盟しているのだとか。作り手側としても、普段はあまり接点のないビジネスパーソンへのアピールやレベニューシェアによる収入増が期待できます。

東京で大荷物を預けたい!便利な事前予約サービス

ご紹介が最後になりましたが、事前予約可能な荷物預かりサービスを展開するecboもコラボしています。ecboは過去に京急や西鉄などの大手私鉄、JRグループとも協業しているため、すでにご存じという方も多いかもしれません。

提供するサービスは、荷物を預けたい人と預かるスペースを持つお店をつなぐプラットフォーム「ecbo cloak」。飲食店やカラオケ店、珍しいところでは神社などへ事前予約で荷物を預け、手ぶらで仕事や観光をすることができます。

要は事前予約制のコインロッカーのようなもの。「東京駅は荷物を預けるのに2時間待つ」と言われるほどコインロッカーが不足しているため、こうした手荷物預かりサービスの需要が非常に高いのです。「EXPRESS WORK-Lounge」は東京駅日本橋改札口側、丸の内中央ビルの11階というロケーションですが、空いているコインロッカーを探して東京駅をうろうろするよりは事前予約した場所に持ち込む方が楽なのでしょう。帰りも新幹線に乗る前に立ち寄れる場所で、東京へ出張しにきたビジネスパーソンにとっては最適の預け先かも。

【実施期間】2023年8月7日から当面の間
【営業時間】8:30~19:00
【利用料金】バッグサイズ500円/日 スーツケースサイズ1,000円/日

利用には事前の「ecbo cloak」の会員登録が必要。預け先に「EXPRESS WORK-Lounge」を選択した上で予約・決済すればOK。預けたついでに「EXPRESS WORK-Lounge」でちょっと仕事をしても良し、必要なものだけまとめて商談や東京視察に行くも良し。

これらの3つのサービスは、現在は試行中ということで期間限定での提供となっています。JR東海としては今後もスタートアップとの協業を積極的に推し進めていきたい意向があるようで、今後も斬新なサービスが出てきそうです。

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