国鉄が鉄道旅を盛り上げるべく、谷村新司が作詞・作曲し、山口百恵が唄い、全国民の記憶に留めさせた1978年の名曲「いい日旅立ち」。

谷村新司がこの世を去ったいま、あらためて「いい日旅立ち」を聴いてみると、この歌が生まれれた舞台は「当時の北陸線だったんじゃないか」と妄想し、米原から先、敦賀・福井・芦原温泉へと続く道をたどってみたくなる。

「米原から先」と妄想するのは、大阪府河内長野市で生まれ、小中高校、大学と大阪で過ごした谷村新司が、「北へ」と旅立つ詩を描くなら、東海道線を北上し米原からさらに北へ、北陸線をたどる旅の時間を詩にしたんじゃないかと―――。あくまで妄想で。

画像は10年前の敦賀駅の夜のワンシーン。

敦賀原発の仕事で出張し、敦賀駅前で「うざく」と「へしこ」でひとり一杯、酒をやってたとき、寝台特急 日本海(大阪~青森)が駅に入ってくるのを狙って、店を飛び出し敦賀駅で撮影した一枚。

北陸新幹線 敦賀延伸で変わる鉄道旅時間

谷村新司も、寝台特急ブルートレイン 日本海も、“起点”は大阪。

関西からみて、北陸新幹線が敦賀延伸すると、これまで福井や金沢に特急サンダーバード1本で行けたのに、敦賀で新幹線・在来線を乗り換えるという“鉄旅時間”が生まれる。

この敦賀時間を、これからはあえて思いっきり楽しみたい。

谷村新司が描いた「いい日旅立ち」は、この敦賀でさらにロマンあふれる妄想が広がる―――。

たとえば、欧亜国際連絡列車もそう。

ここ福井 敦賀から、日本海を経て、ユーラシア大陸を鉄路で行き、ヨーロッパまで結ばれていた時代があったと知ると、敦賀はハズせない。

―――2024年春の衝撃、北陸新幹線 金沢~敦賀 延伸。そのインパクトを前に、あの世へ行ってしまった谷村新司は、この延伸開業をどう想っているか。

関西から北をめざす舞台で唄ったと妄想する「いい日旅立ち」を、新しいパラダイムで旅するなら、敦賀の滞在時間を思いっきり楽しんだほうが、いい。