架線三次元検測装置イメージ(画像:JR東海)

JR東海は12日、東海道新幹線の営業列車で架線を検査する装置を開発したと発表しました。

新装置は「架線三次元検測装置」と「電車線金具異常検知装置」の2つ。これらは時速300kmの高速走行中でも「架線同士の位置関係や電車線金具といった架線の細部にわたって検査できる国内初の技術」とのことです。

前者は複数の架線が交わる箇所の位置関係を高速走行中に三次元的に測定するもの。複数の架線が交わる箇所は、位置関係が悪ければ列車走行によって架線そのものやパンタグラフを傷つける恐れがあるため、新装置で位置関係の良否を自動判定します。

後者は高速走行中に電車線金具の状態を撮影し、AIを用いて変形や破損などの異常を自動検出するもの。ハンガなどの電車線金具は沿線40万個におよび、現在は地上からの目視や夜間の保守用車等を使用した至近距離からの検査を行っていますが、本装置では時速300kmの高速走行時も安定した撮影が可能です。

これらの新装置で取得したデータは、今後整備するミリ波方式列車無線で伝送し、架線の状態変化の早期発見からタイムリーな保守作業につなげていきます。

ドクターイエローの検査内容が変わるものではない

JR東海は現在、ドクターイエローによる検測のほか、日々の沿線徒歩巡回等で架線の外観検査を行っています。

新装置はこの外観検査の高頻度化や将来の労働力不足を見据えた省力化を目的として開発されたもの。今後は営業列車への搭載に向け、装置の長期耐久性などの検証や更なる精度向上を行い、先に挙げたミリ波方式列車無線(2027年運用開始予定)運用開始後の活用を見込みます。

ここで気になるのが「新幹線のお医者さん」ことドクターイエローの今後。架線の検測はドクターイエローの仕事の一つですので、そうした役割を営業列車が担えるようになれば、ドクターイエローは必要なくなるかもしれません。

JR東海に確認したところ、この新装置の開発によってドクターイエローの検査内容が変わるものではなく、またドクターイエローの車両更新や検査の将来像についても現時点ではまだ定まったところはないとのことでした。

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