2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博は、いよいよ会期後半に突入します。10月13日までの184日間開催される万博は、単に展示を見るだけでなく、世界中の人々のアイデアが交差する「未来社会の実験場」です。夏休みシーズン後半を迎えさらに多くの来場者で賑わうことが予想されますが、暑さが和らぐ晩夏から秋の季節は、広大な会場を快適に巡る絶好の機会です。
この記事では、夏休み後半以降に焦点を当て、万博のシンボルである「大屋根リング」の見どころや、アメリカ、フランス、オランダなどの注目パビリオン、毎日開催されるナイトイベントまで、万博を最大限に楽しむための情報を、旅行やお出かけ情報を発信する”鉄道チャンネル”発の現地レポートとしてご紹介します。

目の前に広がる圧巻の大きさの木造建造物に感動します

万博のシンボル「大屋根リング」とその上からの絶景

2025年大阪・関西万博のランドマークでもある「大屋根リング」は、世界最大級の木造建築物としてギネス世界記録にも認定されています。この大屋根リングは、開催期間にしか楽しめない、印象や記憶に残る建造物です。是非、屋上に上って一周散策にチャレンジしたり、暑い日光を防いでくれるリング下で団欒をしたりと、建造物やそこからの景色を含め楽しんでみて下さい。

大きな木造リングの下は日陰になっていいるので涼しく感じます大屋根リングの屋上には、このエスカレーターで上ることが出来ます。エレベーターも用意されていますので、車いすの方でも上からの景色を楽しめますよ。

大屋根リングのは約20mの高さ(外側)だそうです

大屋根リングの外周は、約2kmもあり、その屋上にはスカイウォークと呼ばれる歩道が設けられています。万博会場全体はもちろん、瀬戸内海の豊かな自然や夕陽を浴びた美しい光景も堪能できます。

内側にはパビリオンなどが並んでいるのが見えます。
外側には大阪湾などの景色も拝めます。こちらは東ゲート方面です。

リングの上に配された公園のようなお花や緑は、広大な会場を歩き疲れた来場者に癒しと安らぎを提供します。

大きなリングの屋上には、広い芝生エリアも設けられています
リング屋上でも上と下で通路が分かれ、植栽や通路が続きます

昼はパノラマビュー、夜はライトアップされた幻想的な光景が広がり、異なる時間帯に訪れることで、その多面的な魅力と、世界が一つになるという万博のメッセージをより深く感じ取ることができるでしょう。

夏休み後半以降の注目イベント

万博の後半戦は、夏休み期間中の特別なプログラムや、閉幕に向けたクライマックスのイベントが目白押しです。

ナショナルデー・スペシャルデー:世界の文化に触れる特別な日

各参加国・地域や国際機関が自国の文化や魅力を集中的に紹介する「ナショナルデー」や「スペシャルデー」では、その国ならではのセレモニーや文化イベントが開催されます 。事前に公式ウェブサイトでイベントカレンダーを確認し、関心のある国に合わせて訪問計画を立てることで、世界の多様性を効率的に深く体験できます。

ナショナルデイのスケジュール

夜を彩る光と水のスペクタクル:毎日開催のナイトイベント

万博会場の夜は、光と音の幻想的な世界へと一変します。日没後に毎日開催される壮大なショー「One World, One Planet.」では、音、光、プロジェクションマッピング、ドローンショーが融合し、バーチャル万博アプリを通じて来場者の願いも反映される参加型演出が特徴です。

万博のナイトイベント

また、大屋根リング内のウォータープラザで毎日開催される「アオと夜の虹のパレード」は、万博史上最大級の水上スペクタクルショーとして注目されます。水、空気、光、炎、レーザー、映像、音楽が融合し、約8,800平方メートルの広大な水上空間で生命の物語が壮大なスケールで描かれます。これらのナイトイベントは、万博のテーマである「いのち」の多様性とつながりを五感で感じさせる、深い感動をもたらすでしょう。

夜空を彩る「ミニ花火大会」:夏休みの特別な思い出

夏休み期間中、万博会場では連日「ミニ花火大会」が開催され、夏の夜空を鮮やかに彩ります 。通常は午後8時頃から約4分間で約140発の花火が打ち上げられ、BGMにはコブクロの楽曲「この地球(ほし)の続きを」が使用されます。特に、8月23日(土)には日本の有名花火師を招いた大規模な花火の打ち上げも予定されており、圧巻のスペクタクルとなる見込みです。花火の打ち上げ場所は、万博会場南側の大屋根リングの外側からとなります。

注目パビリオン徹底ガイド

万博では、各国の趣向を凝らしたパビリオンが、そのテーマと魅力を最大限に発揮します。まずは、

アメリカパビリオン:必見お「月の石」の神秘体験

アメリカパビリオンのテーマは「共に創出できることを想像しよう」。日本の「わび・さび」から着想を得たV字型の木造建物2棟の間にキューブ状の建物が宙に浮いているような独創的なデザインが特徴です。

アメリカパビリオンの外観

内部では、4つのシアターを順番に進むことで、アメリカ文化と宇宙開発の歴史を深く体験できる没入型の旅が待っています。
最後のシアターでは、3面と天井に映し出される大迫力の映像で、スペースシャトルと共に月面探査や太陽系惑星調査の旅へ向かう、没入型の宇宙体験が提供されます 。

4つの異なるシアターを体験します

そしてハイライトは、1972年に人類が最後に月に降り立った際に採取された「月の石」の展示です。前回1970年の大阪万博で多くの人が行列を作っていた記録映像などを見た方も多いのではないでしょうか。
今回展示のものは1970年の万博で展示されたものとは異なる貴重な月の石で、わずか20秒ほどしか見られませんが、人類の壮大な宇宙への挑戦の歴史を肌で感じられます。

写真真ん中のケースの中に「月の石」が展示されています

所要時間は約30分で、予約は不要ですが、人気のため1時間以上の待ち時間が発生することもあります。

フランス館:愛と芸術が織りなす感動空間

フランスパビリオンは、「愛の讃歌」をテーマに掲げ、「自分への愛」、「他者への愛」、そして「自然への愛」という多角的な「愛」の視点から、新しい未来のビジョンを提案します 。

フランスパビリオン

外観は、劇場の幕がふわりと上がるような波打つベール状のファサードが特徴で、太陽光の熱を遮るサステナブル設計でもあります。内部空間は「Theatrum Naturae(自然劇場)」と名付けられ、映像やインスタレーションを通じてフランス各地を旅するような没入体験ができます。

ワインをイメージした大きなぶどうのオブジェがある部屋

ルイ・ヴィトンやディオールといったハイブランドのファッション関連展示は必見で、日本人アーティストも深く関わっています。特に、展示の最後に現れる「奇跡の庭園」には、樹齢1,000年を超えるオリーブの樹が植えられており、その美しさは息をのむほどです。
1階のベーカリー&パティスリーではメゾンカイザー監修のクロワッサンやバゲットを、3階のビストロではワインと共に本場の味を楽しめます(こちらは、パビリオンに入場せずに利用可能です)。

オランダ館:未来を照らす「人工太陽」と循環型社会

オランダパビリオンのテーマは「コモングラウンド(共創の礎)」。建物の中心には、無限のクリーンエネルギーと日の出を象徴する直径11メートルの巨大な球体「man made sun – 次世代への太陽」が設置され、来場者はその内部で没入型の体験を通じて水素技術や持続可能なエネルギーの未来を学べます。建築自体も環境負荷を最小限に抑え、解体後も再利用可能な循環型デザインを採用しています。

オランダパビリオンはミッフィーがお出迎え

さらに、2025年はミッフィー誕生70周年、日蘭交流425周年という記念すべき年であり、ミッフィーがパビリオンの案内役を務め、子どもたちが楽しく環境や未来社会について学べる体験を提供します 。食の面では、オランダの伝統料理と植物ベースのサステナブルフードを融合させたメニューが提供されます 。

COMMONS:世界の多様性を気軽に体験できる共同館

「COMMONS(コモンズ)」は、複数の国々が一つのパビリオンに集まる共同館で、最大の魅力は「予約なしで気軽に訪問できる」点です。例えば、「コモンズ-D館」だけでも25か国が出展しており、一度に多くの国の文化や技術に触れることができます。

COMMONSでは一度にたくさんの国の展示が見られるので、プチ世界旅行気分が味わえます

特に注目すべきは「コモンズ-B館」で、「いのちのあかし」をテーマに「対話シアター」で来場者が対話する様子を目撃する仕組みがあります 。また、SNSで「何もない」と話題になったナウル共和国の「ナウル台座」もここに展示されており、「心が綺麗な人は台の上の展示物が見えるはず」というユニークなコンセプトが来場者の想像力を刺激します 。

ペルーパビリオン:アメリカ大陸最古の文明と不思議さを感じられる場所

ペルー館では、派手な色遣いの美しい衣装でお出迎えをしてくれます

南米のペルーパビリオンでは、東洋や欧米とは異なる文化を体感できます。アンデス山脈のふもとにあるこの国には、古代インカ帝国の遺産が残り、特にマチュピチュは有名です。また、謎に満ちたナスカの地上絵など、ユネスコ世界遺産に登録された数々の「世界のふしぎ」が存在します。そんな異文化を紹介するコーナーや、時間によっては陽気なインカの人たちの踊りなどを見る事ができる場所です。

アジアとは違う南米文化の陽気さを感じる踊りです

イタリアパビリオン:歴史と芸術の宝庫

イタリアパビリオンは、豊かな創造性へのオマージュを体現した劇場のような空間が来場者を迎えます。最新技術と伝統が融合した最高級の「Made in Italy」がイベントや展示で披露されます。

イタリアパビリオン

特に注目すべきは、古代ローマ時代、西暦2世紀の大理石彫刻「ファルネーゼのアトラス」の日本初展示です。ナポリ国立考古学博物館が所蔵するこの貴重な作品は必見です。さらに、バチカンのスペースにはカラヴァッジョの名画「キリストの埋葬」が展示され、レオナルド・ダ・ヴィンチの素描や「アルトゥーロ・フェラリンの飛行機」など、文化・歴史遺産から現代アートまで多岐にわたる貴重な展示が楽しめます。

世界の様々な国の一端がみられる 海外パリリオンに行ってみよう!

今回のレポートはここまでにします。次回は、シグネチャーパビリオンや国内パビリオン、万博会場内の景色、グルメなどを紹介していきます。

これから万博に行かれる方は、本当に数多くのパビリオンがあるため迷うかもしれませんが、せっかく世界中の国の人や文化が集まるイベントですので、このような海外パビリオンのいくつかは、是非、訪れてみて下さい。今まで知らなかった国や文化に会えるかもしれませんよ。

写真・文:鎌田啓吾

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