西日本鉄道が5月17日に都内で開催した「グループ事業戦略説明会」の席上に、ミネラルウォーターが置かれていました。ペットボトルのラベルには、富士山のイラストと「FUJI」の文字。富士ミネラルウォーターです。

この富士ミネラルウォーター、「富士山に一番近い鉄道 富士急行線」などを運営する富士急グループの商品で、山梨県富士吉田市に工場を持つ富士ミネラルウォーターという会社がつくっています。

西鉄グループは同説明会で、農業事業についての展開も触れていました。西鉄グループは、JA全農(全国農業協同組合連合会)と組み、NJアグリサポートを設立。農産物の生産・加工・販売、農業経営や生産技術の実践指導などに着手し、新規就農者の育成を手がけます。

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同社は、西鉄グループのネットワークや販路を活用し、沿線地域と連携した商品開発を実施。地域産業の活性化に取り組む「緑線プロジェクト」も立ち上げています。こうした取り組みなどから、「西鉄グループの発表会に富士急グループのミネラルウォーターを出すということは、何かしらつながりがあるの?」と聞いてみたところ、答えはNOでした。

「説明会で出たミネラルウォーターは、たまたま富士ミネラルウォーターだっただけです。たまたま。つながりはありません」と西鉄。両グループは、鉄道・バスをはじめ、ホテルやレジャー施設、流通、不動産と、複数事業を手がけ、似ている部分もあります。

特急「富士」に積まれた水

いっぽう、富士ミネラルウォーターは、1929(昭和4)年に創業した堀内合名会社がルーツ。富士身延鉄道(現在のJR東海 身延線)が抱えていた湧水(山梨県下部湧出名水)を使い、ミネラルウォーターとして日本で初めて販売したのが始まりといわれています。

この富士ミネラルウォーターの前身「日本エビアン(下部天然鉱泉)」は、かつて東海道などを駆け抜けた特急「富士」の食堂車に積まれ、「天然」をうたい8銭で売られていました。

いま、富士ミネラルウォーターの工場(アクアワークス)内には、その歴史をつづったコーナーがあり、特急「富士」で実際に使われていた「富士號列車食堂みかど」なるメニューが展示されています。