世代と雑誌

というとマーケティングの話になってしまいそうですが、例えば既に廃刊になった「平凡パンチ」や「朝日ジャーナル」が団塊世代と共に時代を渡ってきたとすれば、1970年創刊の「anan」(女性版「平凡パンチ」が母体でした)、「anan」の別冊として始まった1976年創刊の「POPEYE」はポスト団塊世代の新しい都市的ライフスタイルを提案し確立した雑誌でした。しかしポスト団塊世代の人口は団塊世代の半分、団塊ジュニアが雑誌のターゲットになる頃にはバブルが崩壊し「カタログ雑誌」ブームの退潮が取り沙汰される事態になりました。1998年創刊の「PEN」は世代をターゲットにするのではなく「あらゆるカルチャー」、言い換えれば「文化的嗜好」を「消費スタイル」という分かり易いテンプレートに落とし込んで成功してきた特異な雑誌です。

鉄道という新しい文化スタイル

PENの特集「列車で行こう、どこまでも」は鉄道という世界的に日本が誇るインフラをテクノロジーと文化という2面から取り上げています。まずは、東海道新幹線の開発秘話やその実力.。続いては、10年後に開通する予定のリニア(=中央新幹線)の全貌を解説。デザイン面で鉄道の魅力をぐっと押し上げた立役者、水戸岡鋭治氏と奥山清行氏の視点にも迫っています。さらには、すでに運行を開始したJR東日本の「トランスイート 四季島」、運行開始目前のJR西日本の「トワイライトエクスプレス 瑞風」という豪華寝台列車も徹底取材しています。

駅という歴史を紡ぐモニュメント

2020年の東京オリンピックに向け整備の進む駅舎にも注目。隈研吾氏や安藤忠雄氏の手がけた、名建築とも呼ぶべき駅について、Penならではの視点で取り上げています。建築という切り口で駅舎を見るというのは実に新鮮です。

人気のローカル線にも注目

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根強い人気のローカル線についても「いま乗りたい5路線」としてピックアップ。廃止の予定されている三江線の取材も「旅行ガイドブック」と一線を画すPENならではのユニークな記事になっています。

さらに写真家の岩崎量示さんが撮り続ける北海道の遺構、旧国鉄時代に使われていたタウシュベツ橋梁の写真は80年を経て朽ちたアーチ橋と、それを取り巻く十勝の豊かな四季を斬りとっていて、息を呑む美しさです。廃線跡の「美しさ」に注目するとは驚き!

マニアックな世界にもせまります

「テツ」と呼ばれるマニアたちの世界にも切り込んでいます。「音鉄(オトテツ)」として知られる「くるり」の岸田繁さんをはじめ、“テツ”たちのアツすぎる「電車愛」のマニアックさにひたすら感嘆します。

絶景とともに味わいたい絶品の「列車グルメ」、知的好奇心をくすぐる全国の「てっぱく」、通勤スタイルに革命を起こす私鉄の新車両なども網羅されています。

デザイン好きから鉄道ファンまでを唸らせる濃厚大特集です。新しいスタイルの鉄道ファンが誕生する予感がします。

※画像はPENホームページより