茨城県龍ケ崎市。穏やかな小貝川がつくる平地にまっすぐに延びるレール、関東鉄道 竜ケ崎線。途中駅は入地駅ひとつしかない小さな非電化ローカル線の終着駅で、8月末、朽ちた車庫建屋の撤去作業が行われました。竜ケ崎駅構内に1914年(大正3年)ごろからあった客車庫が、老朽化で保存が難しいことから、取り壊すことに。

「客車庫は、1914年(大正3年)ごろ、運行車両の変更に伴い、車両の整備拠点として建設され現在まで使用されてきましたが、老朽化が進んだことから、8月下旬に解体し新しい車庫に改修されることが決まっています」(龍ケ崎市)

竜ケ崎駅の客車庫は、現在の気動車が1両すっぽりと収まるサイズ。英国製古レールで柱や梁を組み、そのまわりをトタンで覆うというスタイル。三角屋根には、緩やかにカーブが付けられています。

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1900(明治33)年に開業した竜崎鉄道 竜ケ崎線は、都内から燃料や加工品が、竜ケ崎から米や穀物、青果などが運ばれ、地元客や荷物を載せた客貨混載列車が行き交いました。

その貨物輸送も1971年に廃止され、終着駅の竜ケ崎駅は、貨物ヤードや荷さばき場などが消滅し、ホームは1面1線へと縮小。線路の南側に広がる竜ケ崎営業所の駐車場や、竜ケ崎通運のトラックヤードのあたりは、かつて貨車や客車を留置する線路が敷かれていました。

今回、撤去された客車庫もその名残。写真は2011年当時で、一般道からその姿を間近に見ることができました。

関東鉄道グループの高速バスと、新潟鐵工所製キハ2000、そして大正時代につくられた客車庫内には、キハ532(新潟鐵工製)。線路脇からは、子どもたちのはしゃぎ声が聞こえてきて、のんびりした“関鉄時間”が流れていました。