電気自動車だけじゃ無いよ! 電車だって「電気を作って溜める → それで走る」の実証実験
ブレーキで発生する「回生電力」を変電所に貯蔵
列車運行上、電車に電気を供給する機能を持つ変電所にある既存の複数の機器を「回生電力貯蔵装 置(※)」に置き換えることで、変電設備のスリム化とメンテナンスの省力化をめざします。
※「回生電力貯蔵装置」とは、電車のブレーキ時に発生する電気エネルギー(回生電力)を
蓄える装置です
実証試験では、変電所の機能がなくても「回生電力貯蔵装置により電車が必要とする電力が供給可能か」について検証します。
GPSの電車位置測定によって貯蔵された電気を効率的に充放電
JR東日本が既に導入している回生電力貯蔵装置(拝島変電所・桶川変電所・久喜変電所)は、架線電圧の値によって充放電を制御し、電車に電力を供給しています。その結果、実際は電車が電力の供給を必要としない場合でも架線電圧によっては充放電してしまうことがあり、蓄電池容量はこの不必要な充放電を考慮して決定されるという課題が生じていました。
「列車位置情報を用いた効率的な蓄電池の充放電制御」では、GPS による列車位置情報を用いて適正な位置に列車が在線しているときにのみ充放電制御を行うことで、蓄電池の小型化ならびに長寿命化の実現が期待できます。
試験内容
(1)試験箇所 内房線 君津~上総湊間 大貫変電所
(2)実施時期 2017年10月25日~2018年6月(予定)(試験終了後に装置は撤去予定)
(3)試験内容
①回生電力貯蔵装置による列車への電力供給データの取得
②回生電力貯蔵装置の列車位置情報を用いた制御方法の優位性の検証
③隣接変電所の異常時を想定した、回生電力貯蔵装置による列車への電力供給データの取得
確かに電車が走っていない時間にも常に架線の電圧を維持するのは電力の無駄です。この考え方が進めば、都市部の山手線、中央線、京浜東北線など頻繁に電車が運行する特異な区間を除いて、電化路線の大半を占める長大な線区で電力の効率的な配電が可能になり、抜本的な省エネ施策になります。
さらにこの考え方の先には、家庭に普及している家電機器がAIを搭載して必要な時に必要なダケの電気を供給させるシステムが予想されます。巨大な発電と配電システムからの脱却が可能な未来があるかもしれませんね。