【私鉄に乗ろう 31】信楽高原鐵道信楽線 その2
ここからは終点までは平坦です
紫香楽宮跡駅から次の雲井駅までは600m、信楽高原鐵道信楽線では最短の駅間です。
雲井駅。右の未舗装路はかつては貨物線が敷かれていた跡です。
ホーム上には信楽焼のタヌキが待っています。右には1933年(昭和8年)開業以来使われている駅舎があります。
駅名標と両脇のタヌキ。信楽高原鐵道の駅はどこかしら御所の影が揺曳していますね。雲井という言葉も「宮中・禁中」とか「みやこ」を表す言葉でもあります。
平坦なエリアになって踏切があります。日雲神社の踏切、左に社殿があります。
田園という車窓です。左の鉄塔が気になりますが地図で見てもよく分かりませんでした。
勅旨駅です。手前に12k432mという貴生川からの距離表示があります。
長閑、以外の何ものでもございません。ホームにタヌキが見えます。左奥の森は天神神社でしょうか。
駅名標。ホームの後は農地ですが耕作されていない様に見えます。この駅名は所在地名ですが「勅旨」という言葉も律令制での天皇の命令書のひとつ、公文書のことを表すものです。
玉桂寺前駅です。1987年(昭和62年)に開業した新しい駅です。漸く天皇や御所とは関係の無い駅名かと思えば、秋葉山十輪院玉桂寺は奈良時代に淳仁天皇が造営した離宮「保良宮」の跡に空海が開いたお寺と言われているのです。
駅名標。玉桂寺までは駅から徒歩5分。
1990年(平成2年)に完成した「保良の宮橋」が見えます。玉桂寺前駅から信楽高原鐵道の線路と大戸川、道路を越えて玉桂寺に行ける人道橋。幅が1mなので人しか渡れません。橋の長さは102mもあります。この橋を渡れば駅から5分で玉桂寺に行けるのですね。
大戸川を渡ります。
貴生川駅から24分、終点の信楽駅に着きます。
右側は車庫です。
相対式ホーム2面2線式ですが、片側のレールは明らかに錆びていて、専ら駅舎側のホームしか使われていないのが分かります。
使われていないホームにはタヌキが蝟集しています。
実は、この後ちょっと面倒なことになって信楽駅の写真を撮影できませんでした。
信楽駅到着は14:48。折り返し貴生川行は14:54発なので6分しか時間が無かったのです。14:54の次は16:04発と70分も後になってしまいます。しかし、この日は、貴生川駅に戻って、近江鉄道に乗換えて写真を撮る予定を組んでいました。
70分後に折り返したのでは、路線の長い近江鉄道(貴生川〜米原間は約100分)ですから、途中で夕暮れになってしまうので撮影が不可能になるおそれがあったのです。
それで、慌てて貴生川から信楽までの運賃を精算して貴生川までの乗車券を買おうと改札に行きました。しかし、信楽観光の悠長なご老人たちが清算に極めて手間取っておられたのです。時間がないから、その間外に出て駅舎くらい撮影しようと駅のスタッフに「1〜2分で済ませますから」と申し出ましたが、杓子定規に「清算してからしか出られません」と言われて、結局、信楽駅の駅舎も駅名標も構内も何も撮影できないまま、しかも、結局老人達の清算が終わらなかったために、未精算で貴生川駅まで引き返しました。
ちょっと苛々しましたが、70分滞在する余裕すらないスケジュールを組んだ筆者に非があるのです。この様な理由(わけ)で残念ながら信楽駅の写真が御座いません。申し訳ないです。
復路で撮った写真を何枚か紹介してお仕舞いにいたします。
勾配を下りながら小野谷信号場(使用停止)に進入します。
信号場を過ぎた辺りで、何か器具を持った保線員らしき姿がありました。
山間から平野部に出て視界が急に開けます。まだ下り勾配は続きますが、平坦になれば貴生川駅にむけて左にカーブします。
と言ふ理由で、肝心の信楽駅の写真がほとんど無いという状態での信楽高原鐵道信楽線レポートになってしまいました。関東在住の筆者は簡単に信楽駅には行けないのですが、必ず信楽駅を再訪したいと思っています。
(写真・記事/住田至朗)