1957(昭和32)年、小田急ロマンスカー3000形SE(1957~1992)が登場してからちょうど60年が経ったことし、70000形GSEが誕生しました。

小田急ロマンスカーは、3100形NSE(1963~1999)の登場を皮切りに、7000形LSE(1980~)、10000形HiSE(1987~2012)、20000形RSE(1991~2012)、30000形EXE(1996~)、50000形VSE(2005~)、60000形MSE(2008~)、30000形EXEα(2017~)、そして70000形GSE(2018~)と進化・更新してきました。

この70000形GSEが走り始めると、現状では7000形LSE、30000形EXE・EXEα、50000形VSE、60000形MSE、70000形GSEと、5形式6タイプのロマンスカー車両が、選択肢に。

5形式6タイプ、3種類の乗り心地

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これまで、「小田急ロマンスカー70000形GSE誕生……歴代ロマンスカーにないキャラクターライン」「小田急ロマンスカー70000形GSE誕生……直線基調と太い柱の先頭形状が印象的」と、外観デザインに注目し連載してきました。

今回は、小田急ロマンスカーの“選べる楽しみ”について。

現在活躍する小田急ロマンスカーは、前述の通り5形式6タイプにわけられます。このなかでも、大きく「前面展望席つき」「連接車」「ボギー車」の3つの乗り心地で選ぶ楽しみがあります。

現役小田急ロマンスカーは大きく3種類にわけられます。

◆前面展望席付き……50000形VSE 70000形GSE

◆連接車……7000形LSE 50000形VSE

◆ボギー車……30000形EXE・EXEα 60000形MSE 70000形GSE

連接車は、車両の連結部分に台車が1組つく編成で、通過時にガタン・ガタン・ガタン……という一定リズムの音を発して走っていきます。

ボギー車は、一般的な電車にみられる構造で、車両の両端に台車が1組つく編成。通過時は、ガタンゴトン・ガタンゴトン・ガタンゴトン……と、どこでも聞こえてくるあの音です。

連接車は、急曲線を行くさいなどにメリットがあり、そのぶん1車両の長さが短くなるといった“短所”もあります。

一般的な特急車両と同じ空間でゆったり旅したい、という場合はEXE・EXEαやMSE、GSEを。

小田急ロマンスカーといえば連接車、という気分ならばLSEやVSEを。

前面展望席を確保して、特別な列車旅を、と意気込むならばVSEやGSEを……といった選択肢があるでしょう。

今回登場した70000形GSEは、「前面展望席を持つボギー車」という新たなカテゴリの小田急ロマンスカーともいえます。

―――みなさんはどんな印象を抱きましたか? 後半には、この新型ロマンスカー70000形GSEのプロフィール、特徴1「快適性・利便性の向上」、特徴2「安全・安心のさらなる追求」、特徴3「環境性能の向上」などを記載しました。こちらもあわせてチェックしてみてください。

(鉄道チャンネルMC 柏原美紀)

小田急ロマンスカー70000形GSE プロフィール

開発コンセプト:箱根につづく時間(とき)を 優雅に走るロマンスカー
愛称:GSE=Graceful Super Express「優雅な特急」
塗色:ローズバーミリオン+ルージュボルドー
営業運転開始:2018年3月中旬
運用:新宿~箱根湯本 土休日3~4往復/平日2~3往復(モーニングウェイ・ホームウェイも)
編成:7両固定編成(ボギー車・編成長約142m)
編成定員:400名(全席指定)
製造両数:2編成14両
製造:日本車輌製造株式会社
デザイン設計:岡部憲明アーキテクチャーネットワーク

特徴1「快適性・利便性の向上」

◆展望車両(最前・後部車両)
「ロマンスカー」の象徴である展望席16席を両先頭車に設置します。また、座席上の荷棚をなくすことで、展望車両としてダイナミックな眺望と開放的な空間を創出。

◆車両側面の窓の高さを拡大
車両側面の窓の高さを、VSEやMSEよりも30cm高い100cmとして、流れ行く沿線の四季折々の風景を楽しめる。

◆フルアクティブサスペンション
左右方向の車両振動を低減する「電動油圧式フルアクティブサスペンション」を搭載することで乗り心地を向上。在来線量産車両としては、国内で初めて編成の全車両に搭載。

◆荷物収納スペース
4号車を除く各車両の出入り口デッキ部付近にラゲージスペースを設置。また、全車両の座席の下に、国内線機内持ち込みサイズ(55cm×40cm×25cm以内)の荷物が収納できるスペースを用意。

◆車内無料Wi-Fiシステム
インターネット接続環境の提供と、展望ライブ映像などが楽めるコンテンツを配信。

◆トイレ
電動車いすでも利用できるゆったりトイレを設置。トイレはすべて洋式で、すべて温水洗浄機能付き便座「ウォシュレット」に。

◆コンセント
各座席の肘掛部にコンセントを設置。

特徴2「安全・安心のさらなる追求」

◆防犯カメラ
出入り口デッキ部と客室内に設置し、乗務員室でリアルタイムに客室内の映像を確認できる。

◆バリアフリーに配慮したデザイン
案内用の点字の設置や改良型ハンドル形電動車いすの乗車対応(対応トイレ、乗車スペースの設置)など、ユニバーサルデザインに配慮した車内に。また、4号車の身体障害者対応座席は着脱式とし、座席を取り外した場合には3台の車いすで乗車できる。

◆多目的室
授乳時や不調時の休憩など、多目的に利用可能なスペースを設置。

◆異常挙動検知装置
車両の異常な動きを検知した場合に自動的に緊急停止させ、被害の拡大を防止。

◆編成滑走制御
雨天時など車両が滑走した場合に、滑走を低減させながら、編成全体で可能な限り制動力を維持。制動距離の短縮を図る機能を搭載。

特徴3「環境性能の向上」

◆省エネルギー化
SiC素子を用いたVVVF位ンバータ制御装置の搭載、LED照明の採用など、省エネルギー化を推進。

◆低騒音化
全密閉式主電動機のほか、コンプレッサーや空調装置、駆動装置等は低騒音タイプを搭載。