自動車分野で実現にむけて走り出している自動運転。いよいよ鉄道でもその導入にむけた技術検討会がはじまる。

国土交通省鉄道局、JR、大手民鉄、中小民鉄、研究機関、学識経験者らが集まり、あす12月3日、都内で「第1回鉄道における自動運転技術検討会」を開く。

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もともと鉄道分野では、ゆりかもめや日暮里・舎人ライナーのように、人が容易に線路内に立ち入ることができない新交通などで、無人運転が実現されている。

国や鉄道関係者、研究機関、学識経験者らは、この検討会を皮切りに、「踏切などのある一般的な路線に自動運転を導入する場合」の技術的な要件について検討をはじめる。

今回の検討会では、このような一般的な路線を対象とし、センシング技術やICT、無線を利用した列車制御技術などの最新技術も利活用し、鉄道分野での生産性革命にも資する自動運転の導入について、安全性や利便性の維持・向上を図るための技術的要件を検討していく。

こうした鉄道分野の自動運転にむけた検討がはじまる背景には、人手不足がある。

「日本は現在、人口減少社会をむかえ、鉄道分野でも運転士や保守作業員等の鉄道係員の確保、養成が困難に。とくに経営環境の厳しい地方鉄道においては、係員不足が深刻な問題」

「このため、鉄道事業者ではより一層の業務の効率化・省力化が必要で、その一環で運転士の乗務しない自動運転の導入が求められている」

「また、自動運転化により、従来、運転業務を行っていた乗務員が乗客へのサービス提供や車内のセキュリティの向上など、鉄道に対する多様化・高度化するニーズにも対応できる」(国土交通省)

ゆりかもめなどに代表される新交通は、「踏切のない高架構造等であること」「駅にはホームドアがあること」「自動列車運転装置が設置されていること」などの要件が技術基準等で定められている。

いっぽう、踏切などのある一般的な路線では、安全・安定輸送の観点から自動運転は導入されていない。