まだまだ宍道湖は先の方です。宍道湖北側の山々が広がります。山々の向こうは日本海。第四種踏切があります。警報器も遮断機もありません。車両の通行はなさそうです。

大寺駅から1.3kmで美談駅。線路と道路の間に遮るものが無いのは東京圏に暮らしている人間には珍しい光景です。

ほっこりしちゃうくらいにシンプルな単式ホーム。

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駅名標。駅の所在地名なのですが、美談と書いて「みだみ」とは難読です。1952年(昭和27年)開業。一畑電車のホームページから引用します。

「出雲神話において「大国主命(おおくにぬしのみこと)」の御子神、「和加布都努志命(わかふつぬしのみこと)」が、天と地が初めて分かれた後、天つ神の御領田の長として奉仕されました。「御田を見る神」にちなんで「みだみ」という地名になったという通り、周辺には広大な田圃が広がり、古来より農耕が営まれ経済的に豊かな集落が構成されていたことを示す遺跡が100以上も発見されています。」

この話からすれば美談は当て字ということですね。

ホーム上の待合室。一畑電車のホームページによれば、「2011年(平成23年)にオーストラリアや県内外の大学生・東京の建築家によって、自転車と公共交通を組み合わせ、新たな都市の在り方や、ツーリズムについて実践的に考察をするプロジェクトの一環として美談駅の改修が行なわれました。」とのことです。平均乗車人員は、35人/日(2015年 一畑電車調べ)。

まだ宍道湖畔まで7〜8kmあります。農地と宅地の中を真っ直ぐ進んでゆきます。

少しずつ南にカーブして精進湖岸に向かっています。

1.3kmで旅伏(たぶし)駅。ここも単式ホーム。魅力的な木造駅舎があります。

駅名標。1914年(大正3年)開業。駅の西に旅伏山があって駅名になっています。度々引用しますが一畑電車のホームページ、駅や歴史の紹介がすごく充実しています。旅伏山について、

「山頂付近には、古代に通信手段として使われていた「のろし」を焚いた「多夫志烽火(たぶしのとぶひ)」跡が残ります。出雲国風土記には、馬見烽(大社町・壺背山)、多夫志烽(旅伏山)、布自枳美烽火(松江市・嵩山)、暑垣烽(安来市・車山)の5つの烽火(とぶひ)が記されており、その間は約20km毎だったとされています。」

こんなこと簡単には調べられません。一畑電車ホームページ、素晴らしい充実ぶりですよ。

かわいらしい木造の小さな駅舎。乗車人員は、100人/日(2015年 一畑電車調べ)。駅舎を撮りに一畑電車にも行きたくなってきました。

では、【私鉄に乗ろう92】一畑電車 その6 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)