※2016年11月撮影

トップ画像は恋し浜駅でサービス停車をしています。観光客がホームに出て記念撮影をしたり、なかなか粋なサービスです。

駅名標。愛称「キッピンアワビの海」どうやら吉浜=キッピンと読めますから、古くからこの地のアワビは高級食材として知られていたそうです。駅は、1973年(昭和48年)国鉄盛線の終点として開業。1984年(昭和59年)三陸鉄道に転換、この駅と釜石間が開業。三陸鉄道南リアス線となりました。

ADVERTISEMENT

ホームから駅舎への出入口。ユネスコ無形文化遺産「吉浜のスネカ」は、男鹿のナマハゲや能登のアマメハギなどに代表される仮面・仮装の異形の姿をした者が、「来訪神」として、年の初めや季節の変わり目などに家々を訪れ、子供や怠け者を戒めたり、人々に幸や福をもたらしたりする行事を指します。ここに大船渡市による解説があります。なまはげは有名ですが、全国的に「来訪神」の行事があるんですね。

駅舎には「きっぴんセンター」「大船渡市出張所・集会所」などが併設されています。それで駅舎が大きいのです。でも、無人駅です。

2016年11月に釜石側から撮った写真。駅舎正面にキットカット協賛の桜の花びらが描かれています。

※2016年11月撮影

線路は、珍しく堀割状になっています。

鍬台トンネルの手前は高台を走っていて、東に吉浜湾が広がります。

鍬台トンネル(3907m)。東日本大震災の地震が発生した時にトンネル内を乗客2名を乗せて釜石方面に進行していた車両がありました。運転士・休石さんの生々しい手記を読みました。まず最初は、地震の揺れで車両が脱線しそうになったそうです。緊急で車両を停止した後、運転士さん一人が歩いて吉浜側トンネルの外に出て川古荘の方に会って地震による惨状を聞き、再びトンネル内の車両に戻り乗客を誘導して吉浜側からトンネルを出て高台にある川古荘に乗客を避難させたことなどが書かれていました。この車両三陸鉄道36-100形105号は”奇跡の車両”と呼ばれ、南リアス線では唯一の震災で無事だった車両です。

吉浜駅から6.1kmで唐丹(とうに)駅。駅の手前、熊野川にかかる橋梁は津波で流されました。

幸い唐丹駅は津波に遭わずに済んだ様に見えます。

駅名標。愛称「さけのふるさと」は駅の北側を流れる片岸川に多くの鮭が遡上することに由来しています。

ホームから海側を見るとここにも大きな水門が見えます。片岸川が海に流れ込む場所に作られた水門です。唐丹湾を襲った津波は高さが21mもあったのです。

では、【私鉄に乗ろう98】三陸鉄道リアス線その8 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)