JR九州は5月13日、2018年度決算を発表した。連結営業収益は増収となり過去最高の4,403億円に達したが、減価償却費の増などにより連結営業利益は減益となった。

セグメント別にを見れば運輸サービスと流通・外食が増収・減益、それ以外の建設(新幹線関連工事など)、駅ビル・不動産などは全て増収・増益となっている。

運輸サービスグループの業績

九州新幹線を基軸としたネットワークを最大限に活用し、様々な営業施策を実施することにより収入確保に努めた。

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営業面では「九州新幹線2枚きっぷ」や新幹線定期券「新幹線エクセルパス」などの各種商品の販売促進に努めるとともに、NHK大河ドラマ「西郷どん」に合わせたプロモーションを展開した。

「JR九州インターネット予約サービス」に関しては、インターネット限定商品の充実、法人会員向けの「JR九州インターネット列車予約ビジネス」などで利用を促進。クルーズトレイン「ななつ星in九州」やD&S列車をはじめとした観光列車にも力を入れることで、九州ブランドの認知度向上と九州への誘客促進に努めている。

災害の影響により痛打を受けた九州の輸送ネットワークについても対応が続いている。久大本線は昨年7月14日に全線復旧となり、筑豊本線(原田線)桂川~原田間も今年3月9日に運転再開。豊肥本線肥後大津~阿蘇間については今年の4月に協議が行われ、2020年度内の運転再開となる見通しだ。

鉄道旅客運輸収入および輸送量について

新幹線は運輸収入・輸送量いずれも前年度を上回ったが、在来線の定期外輸送量が伸び悩む形となった。

駅別の取扱収入上位20駅を昨年のものと比較すると、久留米駅が長崎駅・佐賀駅を抜いて6位に浮上、昨年14位の佐世保駅と15位の新八代駅、昨年19位の行橋駅と諫早駅の順位がそれぞれ入れ替わっている。上位の駅の取扱収入は軒並み好調だ。

次期の見通し

2019年度通期の連結事業予想では、鉄道旅客運輸収入の増や新規ホテル開業などにより増収が見込まれるが、税制特例措置廃止や鉄道事業による減価償却費の増などによる費用の増により減益と予想されている。在来線についてはほぼすべての線区で赤字が続き、鉄道事業単体ではまだ厳しい状況が続いている。

JR九州の中期経営計画からは、これらの問題は解決すべき課題として認識されていることが伺えるが、果たしてどのように鉄道事業を盛り立てていくのだろうか。その経営手腕に注目したい。