「熊本デスティネーションキャンペーン・プレキャンペーン(熊本プレDC)」の旅。阿蘇駅に戻り、ここからは阿蘇の観光スポットをめぐります。熊本地震から8年がかりで復旧した「阿蘇神社」や野焼きを終えて新緑が芽吹く前の「草千里ヶ浜」、湧き水スポットとして人気の「白川水源」などを観光しつつ、郷土料理の田楽や草千里ヶ浜を望むカフェも楽しみました。

【前回】
【南小国編】熊本・阿蘇・人吉を巡って「熊本プレDC」を体験! 話題の映えスポット「喫茶竹の熊」で田園風景に癒される
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再建された「阿蘇神社」から門前町で「水基巡り」へ

まずは、全国に約500社あるという「阿蘇神社」の総本社へ。前回紹介した「あそぼーい!」の終着地である「宮地駅」から徒歩約15分でアクセスできます。

見どころは、日本三大楼門のひとつ「楼門」。その左右には、神様が出発する際に通る「神幸門(みゆきもん)」と帰途の際に使用する「還御門(かんぎょもん)」、背面には神様をお祀りしている「一の神殿」「二の神殿」「三の神殿」があり、これら3つの門と3つの神殿はいずれも国の重要文化財ですが、2016年4月の熊本地震で甚大な被害を受けました。8年がかりで復旧・再建が行われ、2023年12月に完了しています。

背後に見えるのが「楼門」。観光ボランティアガイドの吉田俊一さんによると、回収した部材の約72%を再利用しつつ、1万ヶ所以上を補修したとのこと
震度7程度の地震が発生しても耐えられるように4本の鋼管柱(写真の黒い柱)を建て、耐震強度を高めています
同じく全壊した拝殿。楼門は欅(けやき)造ですが、こちらは熊本県産の檜(ひのき)を中心に使用して再建されました

阿蘇神社の参道近くを歩いていると、どこからともなく水の流れる音が聞こえてきます。この一帯には「水基(みずき)」と呼ばれる湧き水が飲める水飲み場が36ヶ所あり、門前町を歩きながら「水基めぐり」を楽しめます。

水基ごとに趣があり、見て回るだけでも楽しい! ランニング中の地元民に話かけたところ「毎日飲んでいるけれども、年間を通して水温が変わらず、特に夏は冷たい湧き水に癒されている」とのこと
阿蘇神社の参道は、南北の鳥居を結ぶように設けられた全国でも珍しい「横参道」です。鳥居をバックに笑みを浮かべているのはYouTube「チャンネル九州塾」で活躍中の土屋さん。参道沿いに見つけた「たしろや」の回転万十に「白あんも黒あんもあずきの粒が大きい!」と笑顔

草千里ヶ浜を一望できるロケーションで自家焙煎コーヒーを

続いて向かったのは、阿蘇を代表する観光地「草千里ヶ浜」。阿蘇駅からバスでアクセスできます。

阿蘇と言えば、世界最大級のカルデラ式火山「阿蘇山」を思い浮かべる人が多いでしょう。阿蘇山とは根子岳(ねこだけ)・高岳(たかだけ)・中岳(なかだけ)・烏帽子岳(えぼしだけ)・杵島岳(きしまだけ)の「阿蘇五岳」などの総称ですが、草千里ヶ浜は烏帽子岳と杵島岳に挟まれた一帯にあります。

広大な草原地帯を散策して噴煙を上げる中岳を眺めたり、「草千里展望所」からの景色を楽しんだり、思い思いの時間を過ごせます。春から秋にかけては乗馬体験用の馬が放牧されている姿を見ることも。広大な草原で草を食む姿は、草千里ヶ浜を象徴する風景です。

草千里ヶ浜と言えば青々とした草原ですが、取材時は野焼きが行われた後のタイミング。もう少しすれば、新緑に包まれた緑一色の風景を見ることができそうです
乗馬の体験も可能。引き馬スタイルなので初心者でも安心です。筆者も挑戦し、馬上から眺める景色を楽しみました

草千里ヶ浜を一望できる、絶好のロケーションにあるのが、ロースタリー兼カフェ「草千里珈琲焙煎所」。熊本城近くの人気店「珈琲回廊」がプロデュースした店で、2021年にオープンして以来、多くの観光客が訪れています。平日でも1日800杯ほどのコーヒーが出るとのこと。ドリップコーヒーの豆は日替わりで、もちろん自家焙煎。リピーターが多いという話にも頷けます。

店内にはカウンター席やテーブル席もありますが、SNS界隈で人気なのがテラス席。草千里の風景をバックに飲むコーヒーは格別
メンバーそれぞれが飲みたいものを注文したところ、フルコンプ状態になったため並べて撮影。筆者は右端のチャコールラテをチョイスしました。竹炭入りで火山灰を思わせるカラーが特徴的です
目の前で珈琲豆を焙煎しています。きっとシンプルなコーヒーも美味しいはず……ということで、豆はお土産に購入して帰りました

囲炉裏を囲んで炭火で焼く、田楽料理を堪能

昼食に訪れたのは「高森田楽の里」。むかしむかし……と始まりそうな、築200年を超える古民家が佇んでいて、店構えを見た時点で既に美味しそうです(笑)

囲炉裏を囲んで味わうのは伝統料理の「田楽定食」。火山灰土壌の痩せた土地でしかできないという地元野菜「つるのこ芋」や「やまめ」「豆腐」などを串に刺し、味噌を付けて炭火で焼いた田楽を楽しみました。

茅葺屋根の風情がある古民家。店内は炭火の煙と味噌の香りが漂っていました
囲炉裏を囲みながら食べる田楽料理が名物。つるのこ芋はくるみ味噌で。豆腐は水分が抜けてしっかりとした食感。食べ応えがあります
白川上流で獲れたヤマメがメイン。時期的に養殖でしたが、夏は天然物を食べることができるそう
連日食べていただご汁ですが、こちらはとりがらベースのしょうゆ味。店によって味付けが違って楽しいですね

名水百選のひとつ「白川水源」でパワーチャージ

阿蘇には湧き水スポットが多数ありますが、なかでも多くの人が訪れる場所が、南阿蘇鉄道「南阿蘇白川水源駅」から徒歩圏内の立地にある「白川水源」。一級河川白川の総水源です。毎分約60トンもの湧水量で、1985年に環境庁(現在の環境省) が名水百選に選定しています。水底まで見える透明な水は、取水エリアで汲んで味わうこともできます。

「白川吉見神社」は白川水源内の神社とあって、水源の水神様が祀られています
透き通ったきれいな水は、見ているだけで心が癒されます
湧き水は空のペットボトルを購入すれば、ひしゃくとじょうごを使って注ぎ、持ち帰りが可能。筆者も旅行中にたっぷりと味わいました

阿蘇の宿泊は温泉宿で

阿蘇観光時に宿泊したホテルは「亀の井ホテル阿蘇パークリゾート」。阿蘇駅からは無料送迎バスで5分の立地です。阿蘇の代表的な温泉街のひとつ「内牧温泉」にあり、ホテル内には阿蘇五岳を望む展望温泉や露天風呂、貸切風呂もあります。また、屋内プールやゲームコーナー、お子さま連れならキッズパークでも遊べます。

朝食はビュッフェレストランで。あか牛入りのミンチカツやあか牛キーマカレー、高菜焼きおにぎり、目の前で仕上げてくれる太平燕などご当地グルメが魅力で、阿蘇の牛乳を使ったデザートもあり、同行メンバーは揃って「食べ過ぎた」とお腹を抱えていました(笑)

2024年にリニューアルされた「サウスウイング リニューアルスタンダードツイン」に宿泊。阿蘇五岳や外輪山を望む眺望が見事
種類豊富なビュッフェに、ついつい目移り。太平燕などライブキッチンコーナーの料理が人気でした

阿蘇観光の後は、令和2年7月豪雨災害から4年半の歳月が経った人吉へ。人吉駅の現在や球磨川下りなどの観光スポット、焼酎蔵見学など盛りだくさんの内容でお届けします。

次回: 【人吉編】熊本・阿蘇・人吉を巡って「熊本プレDC」を体験! 引退したSL人吉の行方は? 国宝「青井阿蘇神社」に焼酎蔵、球磨川遊覧、鍾乳洞も体験

文/写真:斎藤若菜(トップ画像のみPixta)

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