JR東日本と鉄道総研は21日、2020年度より東北・上越新幹線に新型電車線設備「高速シンプル架線」を導入すると発表しました。

現在東北・上越新幹線では、「コンパウンド架線」という3本の電線(ちょう架線・補助ちょう架線・トロリ線)で構成された電車線設備を採用しています。

JR東日本と鉄道総研が共同開発した「高速シンプル架線」を構成するのは、ちょう架線・トロリ線の2本のみ。これら2本の電線に新たな材料を採用することで機能向上も図ります。

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JR東日本によれば、「高速シンプル架線」は現在の新幹線の営業最高速度320km/hの線区で使用可能。高強度かつ軽量なトロリ線を採用すれば最高速度360km/hにも対応できるとのことです。

高速化以外の導入のメリットとしては、

・設備点数が少なくなるため設備に起因する故障リスクが低減する。
・架線を構成する電線が3本から2本に減り、省メンテナンス化が図れる。
・耐腐食性に優れる「硬銅より線」を採用するちょう架線、耐摩耗性に優れる高強度のトロリ線はいずれも従来のものと比べて取替周期の延伸が期待できる

などが挙げられています。JR東日本は本設備更新を「将来の労働人口の減少を見据えた仕事の仕組みづくりの一環」として位置付けています。

導入スケジュールとしては、2020年度以降、以下の線区へ順次投入します。これらの線区以外への導入は、設備の老朽化や今後の走行実績などを勘案しながら検討するとしています。

鉄道チャンネル編集部
画像:JR東日本