1200年続く“自分たちの居場所” 「鳥羽の火祭り」の魅力を届けたい…継承させる想いと新しい出会い

2020.02.18

背丈のはるか上まで燃え盛る炎火に、男たちが次々と飛び込む―――。

天下の奇祭、鳥羽の火祭り。

ここは愛知県西尾市、三河湾にむいて建つ鳥羽神明社。2月9日。

祭りの舞台 境内には、高さ5メートルの巨大な松明「すずみ」が2基。西(福地)の代表と東(乾地)の代表の2人の「神男」は、まず心身を清める。

火打ち石ですずみに火が入り燃え移ると、神男と、お祭りの古いのぼりでつくった衣装に身を包んだ奉仕者たちが、燃え上がる炎のなかに勇敢に飛び込み、すずみを激しく揺すって火勢をあおる。

すずみの燃え具合と、すずみの中心に納められている「神木」「十二縄」をどちらが早く取り出すかによって、その年の天候・豊凶を占う祭り。

当日は、地元メディアや遠方からくるファンや外国人らが、早朝から場所取りをする姿も。

奉仕者たちの熱気と観客の期待が入り混じるころ、闇夜を照らす火柱と、それに飛び込む奉仕者たちの勇敢な姿に、観客たちは心奪われる……。

「年代関係なくいろんな話ができる場所」

「約1200年前に始まったとされる『鳥羽の火祭り』は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。伝統あるお祭りを絶やすことなく、今後も守り続けていきたい」と語るのは、鳥羽火祭り保存会会長の鈴木昌弘さん(写真中央)。

1年に一度、観客を魅了するこの「鳥羽の火祭り」は、いっぽうで若者の減少が著しく、鈴木さんは「毎年の神男を決めるのにもひと苦労」とも。

同じく鳥羽火祭り保存会メンバーの大西良生さんも、「とくにいまの若い世代は、お宮に関わること自体が少なくなってきている」と。

「火祭りの知名度をもっと上げていきたい。働く場所を用意して、若い人たちも十分に暮らせるようにしたい」と願う保存会では、子どもたちとお宮の接点をつくるために、子どもたちだけで担ぐ神輿や、小学校の授業の一環として火祭りの魅力を伝える活動も展開。

「地元 鳥羽に誇りをもつ子どもたちがこの町で暮らし続けることで、鳥羽地区の町おこしを盛り上げたい」というのが保存会メンバーの願い。

ことしの神男をまっとうした大西一輝さん(写真右)と安田竜也さん(左)は、鳥羽の火祭りの魅力をこう語った。

「地域の人がみんなで集まって、年代関係なくいろんな話ができる場所。都会と比べると小さい町だけれど、そのぶん人とのつながりが強い。そこが魅力だと思う。老若関係なくコミュニケーションとれる機会があって、よかった」

「鳥羽のよさは、火祭りに参加してみないとわからない部分も多い。だからもっとたくさん若い人たちと、いっしょに盛り上げて、鳥羽のいいところを共有していきたい」

火祭りを継承していくことがいちばんの魅力

―――神男は鳥羽の象徴であり、神男に選ばれることは誇り。

火祭りのタイミングにあわせて帰省する人も多い、西尾市鳥羽町。それだけ鳥羽の火祭りは地元に愛されながら育ち、鳥羽の人々も、火祭りとともに成長してきた。

幅広い世代のつながりで、火祭りを継承していくことがいちばんの魅力だと感じる。

こうした想いをカタチにし、次世代に語り継ぐために、鳥羽の火祭りのホームページ制作やプロモーションも動き始めた。

「今回、東京で活躍している鳥羽出身の若者から紹介があった、実業家の嶋村吉洋さん(シマムラジュク)から、ホームページ制作やPR支援のお話をいただき、とてもうれしく思っている」と語る大西さんは、最後にこう伝えていた。

「地域の子どもたちに『僕もやってみたい!』と思ってもらえるように、火祭りの魅力を広く、正しく、発信していきたい」

文:渡邊いづみ
撮影:五十嵐大輝

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