さて金沢文庫駅東側の商店街を歩いてみます。とりあえず真っ直ぐです。幸い日曜日の午前中なのでまだ人通りはそれほど多くはない様です。

お店は居酒屋系の飲食店を除いてだいたい開店しています。しかし、昨今駅前商店街のシャッター街化が進行していると聞き及びますが、杉田駅の商店街やこの金沢文庫商店街は元気があるので歩いていても楽しいですね。

おやおや、これはクラッシックな佇まいの薬局、看板の文字が右から書かれています。

余談です。商店街のシャッター街化の要因はいくつもありますが、例えば「町の電気屋さん」が衰退したのは大手家電量販店がメーカーと直接取引するので仲卸を経ない分仕入れ価格を安くできることです。仲卸から仕入れる町の小売業が価格では全く太刀打ちできないのです。筆者は家電メーカーの宣伝部に在籍していたことがあります。集客イベントなどで町の小売電気店の方から「ウチの仕入れ価格よりも量販店の店頭価格の方が安い、どうにかしてくれ」と度々詰め寄られた経験があります。価格は宣伝部の担当外なので丁重に説明しましたが、小売店さんのお気持ちは痛いほど分かります。

同様に「町の薬屋さん」も大手ドラッグ流通がメーカーと直取引を行うので電気店と同じ仕入れ価格差が生じているのです。中学校の同級生に井の頭線沿線で化粧品と薬を70年くらい扱っている店を継いだ友人がいます。彼と飲んでいるとドラッグ業界の仕組みが良く分かります。彼は薬剤師なので漢方を集中的に勉強して漢方薬の処方箋に特化して店は生き残っています。中学生の頃、彼の家に遊びに行くと化粧品の美容部員のお姉さんたちが何人も華やかな匂いを振りまいていました。ドキドキしたなぁ、というのが、今ではウソの様です。(笑)資生堂の広報紙「花椿」を中学時代から愛読できたのも彼のお陰なのです。その花椿の元編集長が今では友人なのですから世の中不思議です。

商品の流通が大きく変わったことで私たち消費者は「安さを追求」する姿勢がますます露骨になりました。ネット上の価格比較サイトはあらゆる業種に及んでいます。しかし、世の中にはラッダイト※な御仁もいるのです。或る友人は理論物理学畑出身の技術者ですが、絶対に家電量販店で買物をしないのです。彼は近所の電氣屋さんで倍の価格の電球を買ってニヤニヤしています。友人は某巨大電氣メーカーの開発者です。(笑)

※ラッダイト=19世紀初頭、第一次産業革命下の英国で機械化によって職を失った熟練職人たちや反動で単純作業労働の強化に対する若年(未成年)労働者たちの機械破壊運動、転じて時代の趨勢に対する反動的な姿勢を言います。

閑話休題。

「町の中華屋さん」もあります。良いですね。画一的なチェーン店の方が安いし、早いかもしれませんがどこか「給餌=エサを与えられている」様で食事という気分では無いことがあります。

余談の補足。

声で命令したら照明が変化したりテレビやラジオをコントロールできることが便利だと筆者は思いません。所詮、我々の人生は「何をして生きているのか」の時間的集積なのです。余程喫緊の用事がない限り筆者は急がず自分の手で操作し、自分に与えられた時間内でノンビリ過ごす様にしています。その時間を他人の作ったゲームで費やす位なら遠回りして散歩していた方がよっぽど人生はリッチだと勝手に思っています。

遊びをせんとや生まれけん 戯れせんとや生まれけん。(梁塵秘抄ですが引用は筆者の勝手な書き換えです 笑)

ってなことをボソボソ書いていたら、商店街はあっと言う間に終わってしまいました。

これが通り過ぎてきた商店街。良いですよ~。ブラブラお薦めします。※コロナ・ウィルス騒動、早く終わって欲しい!

東口はタクシーのロータリーになっています。奥の煙草屋さんが、また良いのです。このお店は下り電車からも見えますよ。

金沢文庫駅東口です。

広いコンコースに戻りました。

では次の駅に転進します。退却ではありません。(笑)

余談が多くてすみません。【駅ぶら03】京浜急行71 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)