2020年4月15日追記:新型コロナウイルスの影響により本システムの導入は延期となりました。(鉄道チャンネル編集部)

小海線に導入する無線式列車制御システムの概要

JR東日本は今春、山梨県の小渕沢駅~長野県の小諸駅を結ぶ小海線において、新しい閉そく方式・列車制御方式を採用した地方交通線に適した無線式列車制御システムを導入します。

同社は1986年に特殊自動閉そく(電子符号照査式)を導入し、小海線や五能線などで使用してきました。これは運転士が車載器を操作することで信号機を制御するもので、各駅に連動装置を設置する必要があります。このため地上設備の設置・メンテナンスコストがかさみ、地方交通線の経営を圧迫するだけでなく、機器の老朽化も進んでいたことから、新しい列車制御システムの開発が行われていました。

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このたび導入される無線式列車制御システムでは、ICT等の先端システムを活用し列車と地上設備が双方向に無線通信を行います。閉そく方式・列車制御方式の機能向上を図るのみならず、各駅に分散していた連動装置を中央装置に集約し地上設備のスリム化を行うことで設備起因の故障リスクを低減します。

無線を活用した自動列車停止機能の導入

現行においても、一部曲線区間にて地上子からの情報による速度照査パターン制御を行っています

現行のシステムは線路上に設置されている地上子から信号機の条件に応じた情報(非常ブレーキ情報など)を伝送していますが、新しいシステムでは信号機の条件を無線にて伝送することで、列車自らが速度照査パターンを作ります。列車は自らの速度を常時チェックし、そのパターンを越えた場合はブレーキ制御を自動的に行うため、安全性が高まります。

自動進路制御装置の採用

現行では運転士によるスイッチ扱いにて信号機の制御を行っていましたが、新しいシステムでは列車のダイヤに基づいて自動で信号機の制御を行う装置を採用しています。これにより指令から列車の運行管理が可能となり、輸送に対する柔軟性が向上します。

使用開始日時・区間

2020年4月19日(日)~4月20日(月)の夜間に切換工事を実施し、4月20日初列車から使用を開始します。区間は小海線全線(小渕沢駅~小諸駅間の約79km)。切換工事の予備日は4月26日(日)~27日(月)。この場合は27日から使用開始となります。

鉄道チャンネル編集部
イメージ画像:JR東日本