【札幌市電 古今東西車両紹介(6)】札幌市電の未来を背負う「1100形 シリウス」
札幌の路面電車は「市電」と呼ばれ、市内約9㎞を60分ほどかけて一周しています。2020年4月1日から札幌市交通局は、施設・車両の保有整備は交通局が担い、旅客運送は一般財団法人札幌市交通事業振興公社が担う「上下分離」が導入されました。この方式により経営基盤の強化、安全管理体制の維持・継続、新たな事業者による利用者サービスの向上などが可能になるなど、路面電車を将来世代へ引き継いでいくことが期待されています。今後、札幌市電の主力となることが期待される「1100形 シリウス」を紹介します。
2018年デビューの最新鋭車両「1100形 シリウス」
1100形 シリウスは、2018年10月に営業運転を開始した札幌市電の最新鋭車両です。本来は老朽化した車両の置き換えとして「A1200ポラリス」が投入される予定でしたが、東京オリンピックにより車両製造が増えた時期と重なったうえに、A1200は複雑な構造のため制作に時間がかかるという課題から、シンプルで作りやすい「1100形」が製造されました。今後は210形などの廃止と共に数を増やす予定です。
札幌市電車両最大の通路幅
1100形はA1200形と同じアルナ車両によって製造されました。運転操作及び内外の意匠もほぼ共通です。車内には北海道産の木材が使われており、落ち着きと温もりを感じます。A1200形に採用されていたクロスシートは廃止され、すべてがロングシートとなっています。通路幅は約1.2mと札幌市電の車両で最も広く開放感がありますが、定員は60(座席24)と少なく抑えられているため、混雑時の輸送能力が心配される声も聞かれます。
3つの候補から「シリウス」に決定!
愛称の「シリウス」は公募で選ばれました。シリウスは「おおいぬ座の星」で、街中を颯爽と走る姿と明るい都市=札幌をイメージして命名されました。他に候補として「ポラジロー」「ミニリス」が挙がっていたそうです。ロゴマークは札幌市立大学の学生が制作したA1200形のデザインを札幌市交通局がアレンジしています。
アナログの対応は少し苦手?
最新車両に相応しい装備のシリウスですが、運転台と運賃箱が離れているため、どさん子パスなどの乗車券は運転士が身を乗り出して目視しなければならず不便そう。ICカードが普及してもアナログへの対応は必要だと感じました。
シリウスグッズを手に入れよう!
札幌市交通局では、市電や地下鉄のグッズを販売しています。シリウス関連は、ハンドタオル(500円)、カプセルトイキーホルダー (100円)、ハンカチ (300円)、箸(500円)、プラスチックカップ(300円)、GOGOキュービー(500円)など豊富。全品、地下鉄大通駅西側コンコース内の札幌市交通事業振興公社総務部事務所で販売するほか、通信販売も行われています。この機会に購入してみてはいかがでしょうか。
文/写真:吉田匡和