国土交通省は、新幹線車両が浸水するレベルの降雨時を想定したJR各社の新幹線車両避難計画をまとめ、公表した。

基本的な考え方は、従業員等の安全を確保した上で、車両の浸水被害の最小化に努める。

避難の判断の考え方

◆気象庁による降雨情報や河川管理者による車両基地近傍の河川水位情報などを総合的に判断し、車両基地近傍の河川が氾濫する可能性が高い場合には車両避難の準備を行う。

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◆具体的には、車両避難のためのダイヤ入力、車両運用の調整、乗務員の手配などの必要な準備をすすめる。

◆河川が一定の水位に達するなど、事業者ごとに定めた判断基準にもとづき、車両避難を判断する。

気象の急激な変化によって、想定以上に早く氾濫の危険が迫った場合等は、従業員等の安全を最優先とし、車両避難を途中で中止する場合もある。また、降雨や風などの規制によって車両の避難ができない場合もある。

現在の気象予測、河川水位予測の精度については技術的な限界もあることから、車両を避難させたが、結果として河川の氾濫や車両基地の浸水被害はない場合も相当な頻度で発生する。

避難場所

◆被災リスクの低い安全な場所をあらかじめ選定しておく(他の車両基地、高架駅、本線上の安全な場所など)。

◆当日の運行状況及び車両の留置状況、降雨、河川水位、台風の進路等の気象状況や見通しを勘案し、実際の避難場所を決定する。

運転再開の手順

◆台風などの進路の状況、河川水位の状況をふまえ、鉄道施設(本線)および車両基地内の点検・安全確認を行った上で、避難させた車両を基地に戻すなどの必要な準備が整い次第、運転再開する。

◆そのさいに、利用者に対しては、現在の作業状況や運転再開の見込みなどに関する情報について適宜提供する。

◆なお、避難させた車両が施設などの安全点検の支障となって運転再開が遅れたり、仮に施設に問題がない場合においても、避難していた車両の回送時間などを勘案すれば、運転再開まで相当の時間を要することが見込まれる。