南予エリア観光型MaaSの利用イメージ 画像はJR四国の発表資料から

松山空港や松山観光港から、愛媛県宇和島、八幡浜、大洲、西予の各市をはじめとする南予地方への旅行の予約や決済(支払い)がスマートフォンで完結する、観光型MaaSの実証実験が10月29日から年末12月31日までの約2カ月間にわたって実施される。JR四国や全日本空輸(ANA)をはじめ9社(者)が参画する。域内の鉄道やバスが定額制で一定期間乗り降り自由になる、いわゆるサブスクリプションサービスで観光客の満足度を向上させ利用促進を図る。終了後は実証内容を精査し、2021年度以降の本格展開を目指す。

国土交通省の「令和2年度日本版MaaS 推進・支援事業」の認定を受け、異業種9社が「南予観光型MaaS実証実験協議会」を結成。構成メンバーのうちANAと石崎汽船は、県外から愛媛への送客を担当。伊予鉄グループの石崎汽船は、松山―呉―広島間のジェットフォイルとフェリーを運航する。JR四国、伊予鉄バス、宇和島自動車、愛媛県バス協は愛媛県内の移動を受け持つ。JR四国はフリーきっぷ「えひめいやしの南予デジタルフリーパス」を造成する。さらに、KDDIは全体のコーディネイト、南予交流推進協は南予9市町村との連携、瀬戸内ブランドコーポレーションはプロモーションとそれぞれの役割を分けた。

対象地域内の鉄道、路線バス乗り放題の「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」(松山発着大人6000円、子ども半額)は定額で設定。フリー区間は、鉄道が予讃線伊予大洲―宇和島間と予土線、バスが八幡浜―三崎港口間、宇和島―宿毛間など。有効期間3日間。もう一つの「内子・大洲町並散策1日パス」(大人2840円、子ども半額)は、松山―伊予大洲間が1日乗り降り自由。駅改札口や乗務員が所持する近距離無線通信タグ付き案内表示器にスマホをかざすか、同表示に記載のQRコードを読み取って購入・利用する。

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実証実験では、周遊しやすい観光地づくりを志向し、観光客や域内消費額の拡大で2018年7月の豪雨で被害を受けた農業や商業の回復による地域活性化を目指す。

実証実験では、ポイントサービスも実施。交通機関の乗降ごとに「南予のりつぎポイント」1ポイントを進呈し、4ポイントになると観光施設入場券に引き換えできる。

文:上里夏生