JR東海は、信号機器室や車両検査施設などの重要施設、鳥飼車両基地などに留置する車両などについて、浸水対策の基本的な考え方をまとめた。

◆浸水対策の基本的な考え方

信号機器室や車両検査施設などの重要施設について、計画規模降雨による浸水に対し、列車運行への影響が生じないよう対策を施す。

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想定最大規模降雨による浸水に対しては、被害が生じても速やかに復旧できるよう対策を施す。

鳥飼車両基地(大阪)では、想定最大規模降雨で浸水被害を想定した避難計画を策定。計画に基づき留置車両を避難させる。

具体的な手順は、

(1)台風の進路等の気象情報や河川の水位情報等をもとに、避難準備

(2)避難ダイヤの検討・策定、乗務員の手配など

(3)定めた基準に達した場合、車両避難を開始

また、鳥飼車両基地は、2023年度に安威川ダム事業が完了することで、計画規模降雨による浸水被害は発生しなくなる見込み。

◆東海道新幹線の具体的な対策

(1)計画規模降雨に対する取り組み

浸水被害が想定される重要施設のうち信号機器室(1か所)を移転し、その他信号機器室や電源設備(約10か所)についてはかさ上げや止水扉などを設置する。

(2)想定最大規模降雨に対する取り組み

信号機器室が浸水した場合は、災害用予備品(整備済み)を活用して復旧を図るほか、復旧までの期間を短縮する装置の開発にも取り組む。

車両検査施設で浸水被害が生じた場合は、他の施設で検査を代替。ただし浜松工場については、主に列車の安全・安定性に関わる検査のうち他の施設で代替できない検査(ATC、力行・ブレーキ関係など)の機能を維持するため、必要な設備を整備する。

鳥飼車両基地は、車両避難時の手順を定めた車両避難計画を策定(策定済み)し、浸水被害のおそれがある場合は、計画にもとづき車両を避難させる。

◆工事費・対策完了時期

工事費は約36億円。信号機器室の早期復旧にむけた装置の開発、導入に関わる費用は含まれない。

対策完了時期は2022年6月(信号機器室移転を除く)。信号機器室移転は2024年5月。