横浜でディズニーランド規模の “新テーマパーク” 計画が進行中!相鉄駅からの新交通、東名高速の新IC+次世代物流で横浜・上瀬谷が未来都市に

横浜市の旧上瀬谷通信施設跡地で、東京ディズニーランドやUSJと同規模となる「ワールドクラスの次世代型テーマパーク」の建設計画が進行しています。三菱地所を中心に進められ、2031年の開業で、将来的に年間1500万人を超える来場者を見込む大型テーマパーク計画です。
また、この再開発は単なる遊戯施設の建設だけではなく、相鉄線瀬谷駅とを結ぶ新しい交通システム構築や、東名高速に直結する次世代物流施設の整備などと一体で進められ、周囲を未来都市に変貌させるような構想です。
この記事では、2031年の開業を目指すテーマパーク「KAMISEYA PARK(仮称)」の現時点の詳細から、GREEN EXPO 2027のレガシー・緑地を継承しながらの周辺開発、東名高速の新横浜ICの計画まで、この巨大プロジェクトの全貌をご紹介していきます。
新テーマパーク「KAMISEYA PARK」上瀬谷パーク(仮称)とは!
「KAMISEYA PARK」は、横浜市内の旭区・瀬谷区にまたがる約71ha(ヘクタール)・東京ドーム約15個分(そのうちテーマパークエリアは51ha)という広大な敷地において、三菱地所を主体とする5社(他に相鉄ホールディングス、東急、東急不動産、三菱倉庫)が開発を進める大型テーマパークの計画です。
世界に誇るジャパンコンテンツと、ジャパンテクノロジーを活用して、世界クラスの次世代型テーマパークが開発されます。2027年頃の着工・2031年の開業を目指しており、開業当初は年間1200万人程度、段階的には年間1500万人を超える来場者を見込んでいます。
主な国内テーマパークの広さは、東京ディズニーランドが約51ha、東京ディズニーシーが約49.3ヘクタール、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が約54haなので、敷地面積としてはそれらに匹敵する、大規模なテーマパークになることが判ります。

横浜市にある、旧米軍施設の広大な敷地に誕生!
この「KAMISEYA PARK(仮称)」ができるのは、相鉄線瀬谷駅の北側に位置する、横浜市旭区と瀬谷区にまたがる、元々は米軍の上瀬谷通信施設があった広大な敷地で、2015年に米軍から横浜市に返還された土地です。
東名高速道路の横浜町田インターからは南側に約2km、鉄道の線路は、相鉄線が南側を、東急田園都市線とJR横浜線がこの地域の北側を、そして小田急江ノ島線がこの地域の西側を走っています。

この土地は、約242ha(東京ドーム約51個分) という広大な面積で、そのうちの一部、南側の約100ha(約21個分)を利用して、2027年には「国際園芸博、GREEN×EXPO 2027」の開催が決まっています。上図の下側(南側)が「GREEN×EXPO2027」の会場で、2027年の園芸博終了後には、公園・防災地区として整備されます。

「KAMISEYA PARK(仮称)」は、その北側の「観光・賑わい区域」に整備されるという計画です。
テーマパークゾーンを中心とした4つのゾーンで
観光・賑わい区域の開発のメインとなるのは、51万平米の「テーマパークゾーン」です。他にも、瀬谷駅から結ばれる新しい交通の拠点入り口となる「駅前ゾーン」、「GREEN×EXPO 2027」の会場跡地に整備される広大な公園との接点となる「公園隣接ゾーン」、そして空港や主要都市などからのバスターミナル機能を持つ 「環4西ゾーン」という4つのゾーンが整備される予定です。

KAMISEYA PARKのテーマパークゾーン
この新しいテーマパークは、「ジャパンコンテンツ」と「最先端のジャパンテクノロジー」を活用したワールドクラスの”次世代型テーマパーク”になるとされています。

日本のコンテンツということなので、漫画やアニメ、ゲーム、映画、ドラマ、キャラクターなどというものを利用しながら、それを新しいテクノロジーを使って体験をさせたり見せて行くような、そんなテーマパークを目指しているということが想像されます。
またテーマーパークゾーンには、「最先端のエンターテイメントが集まるエリア」「子供から大人まで楽しめるエリア」「スリルあふれるエリア」など、特徴のある複数のエリアにゾーニングされるそうです。

このテーマパークに関しての情報は、まだまだ第1報というところですので、今後、さらに具体的い様々な企業との交渉を行いながら、内容などを固めて行っているという段階なのではないでしょうか。
2031年頃とまだ先の開業予定ですので、更なる続報を待ちましょう。
「公園隣接ゾーン」は農業と食を提供するエリアに?
テーマーパークゾーンの南隣のエリアは、2027年の国際園芸博(GREEN×EXPO 2027)の会場になる場所で、公演が整備される予定です。この公園とテーマーパークを繋ぐためのソーンになるのが、「公園隣接ゾーン」です。
ここは、”都市公園との結節点であることや、GREEN×EXPO 2027会場跡地であることに鑑み、「農と食」や「Well-being」など、自然・人・社会が調和する新しいライフスタイルを提案する、自然をコンセプトとした商業施設を導入する” とされています。

無料で入場することが出来るこのゾーンには、テーマパークや公園を利用する多くの人が訪れることが予想されます。現在は多くが農地として利用されている場所でもあり、「農業振興地域」も近隣に残る開発計画ですので、この近隣地域で獲れた新鮮な野菜などを利用した、マルシェやグルメ施設などを整備するには、非常に良い立地なのではないでしょうか。

持続可能なグリーン社会
上瀬谷地区は、周辺に樹林地(市民の森)なども存在し緑豊かな地域です。国際園芸博覧会・GREEN×EXPO 2027後にそのレガシーを継承し、環境と経済が両立した取組を進め、未来に向けた持続可能なグリーン社会の実現を目指すとしています。
この地域のアクセス拠点となる「駅前ゾーン」と「環4西ゾーン」
この場所を訪れる方の玄関口となるのが「駅前ゾーン」とされている場所です。駅という名が付くように、交通の要所になる場所で、テーマパークのグッズショップの他に、コンビニやドラックストアといったショップや、カフェ、レストラン等の商業施設が設けられ、アクセス拠点とともに賑わいのある場所となるとされています。
「環4西ゾーン」は、横浜市内を環状に繋ぐ主要道路である「横浜環状4号線」の西側のエリアの事で、ここには多くの場所からここを訪れるバスの拠点が想定されています。
テーマパークの玄関口になる場所ですので、テーマーパークには入らなけれど、雰囲気を味わったりグッズを買いたいといった利用者が多く訪れるような場所になるでしょう。

瀬谷駅との間を結ぶ「新たな交通」の整備
KAMISEYA PARKの駅前ゾーンと相鉄線瀬谷駅との間、約2.6kmを結ぶ公共交通機関として、「新たな交通」が検討されています。
当初は2027年国際園芸博開催に合わせた2026年度完成で「上瀬谷ライン」と呼ばれる新交通システムの導入が計画されていましたが、事業参画を要請していた横浜シーサイドラインが採算性の問題などで参加を断念し、2024年4月には、この計画を取りやめました。
その計画に代わり、2027年の国際園芸博では、会場周辺の4駅(相鉄線の瀬谷駅・三ツ境駅、JR横浜戦の十日市場駅、東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅)からのシャトルバスや、空港・主要ターミナル駅からの直行バスなどが、アクセスの手段になっています。
園芸博の後、新テーマパーク「KAMISEYA PARK(仮称)」の開業に向けて、横浜市では「新たな交通」の整備を検討しています。現在の計画では、2~3台の連結バスを利用して、シールドトンネルによる専用道を走るという新しい交通システムが計画されています。車両の隊列走行や自動運転といった、次世代技術を活用したものを想定しているようです。

この連結バスを使用した交通では、瀬谷駅の地下からの連結バスが、将来的には自動運転でテーマパークの玄関口となる上瀬谷ターミナルまで運行をする事を目指し、調査・検討が進められます。
また、当初は瀬谷駅~上瀬谷の間での運行開始になりますが、将来的に運転区間を延伸し、北方向へはJR十日市場駅方面へ、南は泉区の市営地下鉄ブルーライン立場駅や相鉄いずみ中央駅まで、バスのネットワークをつなぐことを視野に入れているようです。これは、横浜市が抱えている南北移動のための交通手段不足を解決し、複数の鉄道路線を連絡するようなバスによる新たな交通ネットワーク構築になると期待されます。

上図の青い部分が新テーマパークなどへのアクセス用に検討されている瀬谷駅~上瀬谷ターミナル部分で、将来的には緑の部分までバスなどを利用する事で、公共交通ネットワーク構築を目指すということです。
東名高速の新ICで横浜町田ICの混雑緩和なるか?次世代物流基地も!
この地域周辺で動いている、勝利に向けたもう一つの大きな計画があります。それが、東名高速道路と直結する「新たなインターチェンジ」の設置計画と、その新IC直結の「次世代基幹物流施設」の開発計画です。
この旧上瀬谷通信施設から北へ2km程の位置には、東名高速道路の横浜町田ICがあるものの、国道16号線や256号線との交差点付近に位置することもあり、多くの時間帯で渋滞が発生するICとなっています。
そのため、交通利便性の向上や周辺の交通負荷の低減に向けて、東名高速道路と直結する「新たなインターチェンジ」の検討が進められています。

新しい東名高速のICは、横浜町田ICの南側(静岡側)約1.5kmほどの位置になる見込みで、東京方面と名古屋方面に乗り降りができるICとして整備予定です。この新ICの一般道の出入口は、本線の東側に位置する旧上瀬谷通信施設の一番北側、「物流地区」に設置されます。この高速道路本線から一般道出入口までの区間の大部分は、周囲の環境に配慮して地下に設けられる方向で、横浜市が環境影響評価書を掲示した段階です。
旧上瀬谷通信施設に設けられる物流地区には、三菱地所・東急不動産・シーアールイーの3社が、自動運転トラックなどに対応した「次世代基幹物流施設」の建設を行う事を2025年8月に発表しています。敷地面積が約220,000㎡、延床面積約700,000㎡(約211,750坪、東棟・西棟合計)にもなる巨大な施設です。

新ICに直結する計画で、2027年秋以降の着工、東棟が2030年頃、西棟が2031年頃の竣工を目指しています。上のイメージ図には、新ICから施設内への誘導路も描かれています。
ダブル連結トラックや自動運転トラック等の次世代モビリティが、高速道路から一般道に下りることなく利用可能な施設整備を目指すとしていますので、まさに近未来の物流拠点といえる施設になるでしょう。
大規模な次世代型テーマパークを中心とした横浜・上瀬谷の再開発は、新しい交通網の整備、そして近未来の物流などが一体となって進む、壮大な構想です。2031年のテーマパーク開業に向けて、このエリアはGX技術を継承し、自然と調和する「グリーンシティ」のモデルケースとなります。新テーマパークが誕生する未来の横浜に期待して、続報を待ちましましょう。
(画像:横浜市、三菱地所、2027年国際園芸博覧会協会)
記事:鎌田啓吾
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)
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