男女や年齢に関係ない水上の格闘技、ボートレースの世界で、艇王と呼ばれたレジェンドがいる。

公営競技史上初の年間獲得賞金2億円を手にし、記録にも記憶にも残る闘いを続けてきた男―――植木通彦。

引退後はボートレーサー育成に尽力し、いまボートレースアンバサダーとして活躍する52歳は、なにを想い、なにを伝え、どう生きるか―――植木通彦の“いま”を聞いた。

いまなぜボートレースが注目されているか

ADVERTISEMENT

まずはボートレースの舞台、全国24か所にあるレース場が、それぞれ大きく変わったことが一番の理由ですね。

舟券を買って水上を駆け抜けるボートレースの現場だけじゃなくて、ファミリーやカップル、友だちや仕事仲間と行けるような空間に変わりました。

たとえば地元グルメが集結したフードコート、ボルダリングが体験できるスポーツ空間、子どもたちが遊べるキッズエリアなどが充実して、ボートレースに興味がない人たちも楽しく過ごせる場になりましたからね。

それからいまはネットを介したオンラインでも楽しめるようになりました。そこも大きいでしょうね。

田中圭ら出演の新CMシリーズ効果、舟券の買い方も観戦スタイルも変わった

それから、田中圭さん、武田玲奈さん、ずん飯尾和樹さん、葉山奨之さんらが出演することしのボートレースCMシリーズも好評です。

意表をつくストーリーや、男女や年齢も関係ないボートレースの世界が描かれて、共感を得ていますよね。

それから、ボートレースにかける金額も昔と大きく変わりました。たとえばSG(最高峰)レースになると舟券を買う金額が3~4万円と大きかったけど、いまは3000~4000円と1/10ほどになって、みんなが参加しやすくなった。

昔はひとりでもくもくとレースに勝負するという雰囲気でしたけど、いまは仲間や友だちといっしょに舟券を買ってレースを予測する、大好きなボートレーサーを応援するというスタイルに変わりました。

ファン層の裾野が広がり、観戦者が増えると、小さな金額でも観戦者が楽しめるし、ボートレース選手たちも賞金の金額は大きくなる。

ボートレーサー志願者も増加、地域といっしょに盛り上がる時代へ

実は、ボートレースファンも増えているうえに「ボートレーサーになりたい!」っていう人たちも増えています。

田中圭さんと武田玲奈さんの水上での闘いのように、男女や年齢が関係ないので、「わたしもボートレースで勝負したい」という気持ちになる人たちが多いんですね。

あと、たとえば家族でボートレース場で観に行ってるうちに、娘さんが「あの選手がかっこいい。あんな選手になりたい!」と感じて、ボートレーサーをめざすという例も少なくありません。

もともとボートレースは、国から認可された地方自治体が主催し開催されている公営競技です。ボートレースの収益は、各自治体のさまざまな事業費にあてられて、地域活性化に役立てられています。

だから、「地域のために貢献したい!」という想いでボートレーサーをめざす人もいるんです。

頂上をめざす選手たちそれぞれのストーリーにも注目してほしい

女性ボートレーサーの活躍もめざましいです。これまでは男性が占めていたSG(最高峰)レースの世界にも、女性が入り込んできました。

条件もルールもいっしょです。彼女たちが描く、頂点への歩み、レーサー人生ストーリーも、いま注目です。そんな彼女たちを「応援したい!」というファンも増えています。

(以上、語り:植木通彦)

――― 女性の進出がめざましいボートレース界。次回は、ボートレーサーになるステップ、ボートレースに求められるフィジカル・メンタル、ボートレーサーのマネー論などにクローズアップする。

◆ボートレースアンバサダー植木通彦プロフィール
1968年生まれ、福岡県出身。ボートレースの世界で、“艇王”と謳われたレ ジェンド。公営競技史上初の年間獲得賞金2億円を手にするなど、記録にも 記憶にも残る活躍をしたが、39歳の若さで引退。引退後はボートレーサー 養成所(旧やまと学校)所長として後進の育成。要職を経て 2018年5月に現職に就任。 植木通彦オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/michihiko-ueki/

◆ボートレース関連記事
https://tetsudo-ch.com/tag/boatrace