連休中は引っ越しの準備のため積もりに積もった本を整理していました。処分する本だけでも段ボール20箱分ほどあるのでこれがなかなか大変です。中でも処分に困るのは付箋がべたべた貼られているような本。それだけ読み直す価値があるということですから、一息に捨てるというわけにもいかず、一応はあらすじを読み返したり、付箋が貼られている場所を確認してみたりするわけです。すると、面白い記述を何年かぶりに「再発見」してますます引っ越しの準備が進まなくなる。

今日は本棚の奥から『仏教漢語50話』(興膳宏、岩波新書)という新書を見つけました。「我慢」「道楽」「方便」など日常的に使う様々な仏教漢語の語源や意味を解説する本ですが、付箋の貼られた「禅」の項目に「鉄道チャンネル」向けの面白い記述があったので引用します。

“また、最新の情報によると、フランスの超高速列車TGVには、いま「ZEN」と名づけられる車両があって、ここでは携帯電話の使用が一切禁止されているという。車内での会話も慎めという話。「禅」の意味もずいぶん遠くへ来たものだ。”(p37)

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中の人は日本から出たことがないのでTGVにも乗ったことはありませんが、静かにゆっくり過ごすための特別な車両という位置づけなのでしょうか。この本自体は2011年に刊行されたものなので、今も設定されているのかどうかは調べてみないと分かりませんが、そういったコンセプトの車両に「禅」の名を与えるのはなかなかに斬新です。

日本でもかつてひかりレールスターで「サイレンスカー」が設定されていましたが、現在は廃止されています。残念。でも乗ったら終点まで寝過ごしそうですね。