特製ヘッドマークを付けた関鉄の「日本酒列車」
発車にあわせて「乾杯!!」

茨城県の関東鉄道はこのほど、1日限定のイベント・観光列車「日本酒列車」を常総線守谷発着下館折り返しで運行した。沿線の酒蔵2社の地酒を車内で提供、30歳代以上を中心とする参加者は、車窓に広がる田園風景や筑波山の遠望に春の訪れを感じながら、ほろ酔い気分に浸った。

関鉄は多くの地方鉄道と同様、観光列車を集客の目玉にするが、コロナ禍の昨春以降、ほぼ1年間にわたり運行を見合わせていた。今回は、茨城県が緊急事態宣言の対象外という点も踏まえて再開を決定。ウィズコロナ時代のイベントの実施方法を探る目的も兼ねて、十分な感染拡大防止策を取った上でツアー商品として催行した。

具体的には、参加者に受付時の検温や飲食時以外のマスク着用、こまめな手指消毒を要請。関鉄のスタッフは、マスクとフェイスシールド、ビニール手袋を着用してサービスに当たった。

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列車はキハ2300形など気動車3両編成で、ロングシートの通路部分にテーブルを設置。テーブルにはパーテーションを置き、換気にも工夫した。ツアーは〝ソーシャルディスタンス〟を確保できるよう、通常の観光列車で募集100人程度のところを60人に抑えたが、募集開始早々満席になった。

参加者のお目当ては、日本酒とともに常総市の名門旅館が考えた特製おつまみ弁当。牛ロース焼きやロールキャベツ、オマール風コロッケ、アジの一夜干しなど12品がバラエティ豊かに並び、「日本酒はちょっぴり苦手」という女性も喜ばせた。車内では、酒蔵の社長が歓迎のあいさつをした。

乗客の1人は、「関鉄は毎年夏のビール列車に参加しているが、趣向を変えた今回の日本酒列車は新しい旅気分に浸れた」と大満足。関鉄は日本酒列車を、「ウィズコロナ時代の観光列車への出発点」と位置付け、今後も多彩な企画列車を送り出す。経営環境が厳しさを増す中、関鉄は増収作戦を活発化、令和3年3月3日にあわせた「3並び記念乗車券」を売り出している。

文:上里夏生
(画像:いずれも関鉄提供)
※2021年3月11日12時50分 一部修正いたしました。(鉄道チャンネル編集部)