「東工大田町キャンパス土地活用事業」の開発イメージ
開発模型を囲む5者代表

JR東日本が参画する新しい街づくりが、東京都港区のJR山手・京浜東北線田町駅の隣接地で始まる。JR東日本、東急不動産、東京工業大学、NTT都市開発、鹿島建設の5者(社)は2021年3月1日、「東京工業大学田町キャンパス土地活用事業」を共同発表した。田町駅南側の東工大田町キャンパスを民間4社が共同開発し、地上36階建ての高層ビルを建設し、新たな産業・研究拠点を形成する。11年後の2032年4月ごろの街開き・グランドオープンを目指す。

対象地は東工大附属科学技術高校がある約2万3000平方メートルの田町キャンパスで、東工大が同校を大田区の大岡山キャンパスに移転することで開発が可能になる。民間4社は東工大から事業予定者(交渉権者)に選定された。

計画では、複合施設A棟、B棟の2棟のビルを建設。A棟は地上36階、地下2階、高さ約178m、延べ床面積約24万7700平方メートルで、東工大の教育研究機関、産学官連携機関、民間のホテル、商業施設、事業所(オフィス)、保育所などが入る。

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B棟は地上7階、高さ約33m、延べ床約2500平方メートルで、東工大の教育研究機関、民間の商業施設が入居する。両施設は2030年6月ごろの供用開始を予定する。

街区全体では、歩行者ネットワークを充実させ、南側につながるJR東日本の品川プロジェクトとも連続性を持たせる。街区全体でエネルギー効率の最大化を図り、環境に配慮した街づくりを志向する。

民間4社を代表するNTT都市開発によると、JR東日本には豊富な都市開発のキャリアを買って参加を要請。各社の役割分担はこれからだが、JR東日本には開発街区と田町駅とのアクセス機能充実やホテル運営などが考えられる。

東工大と民間4社によるオンライン会見で、JR東日本の喜勢陽一常務・事業創造本部長は、「JR東日本は、開発街区に隣接する高輪ゲートウェイ駅周辺で品川開発プロジェクトを進めており、今回のプロジェクトとの連携で新たな可能性を生み出したい」と抱負を述べた。

文:上里夏生
(写真:いずれもNTT都市開発)