森林公園駅で50090型に野菜のコンテナを積み込む様子
池袋駅南口改札 ラウンドワイドボード前で販売

2021年3月18日、東武鉄道池袋駅で食品ロス削減に貢献する実証実験「TABETE レスキュー直売所」が始まり、鉄道車両で輸送した野菜の販売が行われました。

実験内容は、東松山農産物直売所「いなほてらす」で売れ残った野菜を、まだ新鮮なうちに池袋駅へ輸送し値引き販売するというものです。食品ロスを削減したい東松山市と、東武鉄道、コークッキング、JR埼玉中央が協力。実験(販売)は3月31日まで毎日行われる予定です。

平日は森林公園駅 16:58 発 → 池袋駅 17:49 着の快速急行、土休日は森林公園駅 17:00 発 → 池袋駅 17:49 着の川越特急を使用し、野菜は運転席の後ろ、座席のないスペースに積み込みます。東松山農産物直売所からやや離れた森林公園駅を選んだのは、最寄りの東松山駅や高坂駅では積み込みに十分な停車時間を確保できないためとのことで、今回の実験ではそうした積み込みの問題や駅構内の導線確保といった課題の洗い出しが行われます。

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東武鉄道が貨客混載の実験を行ったのは昨年10月以来のこと。鉄道車両の空きスペースを活用し、コロナ禍における減収を補う策の一つとして、事業化の可能性を検討します。今回はあくまで実証実験ということで、東武鉄道側の収入は輸送時に添乗するコークッキングスタッフの運賃分のみとしたそうですが、将来的に事業化が果たされた場合は付帯費用なども込みで考えていくとのことです。

7コンテナ分の野菜は30分ほどで完売し、上々の滑り出し。列車への積み込みと販売を担うコークッキングの川越一磨 代表取締役CEOは、本日の販売状況に対し「人通りが多い場所でもあり、想像以上に早く完売してしまった」とコメント。「今回はたまたまご縁があり東松山市さんとやらせていただいたが、東上線だけ見ても沿線に生産地はたくさんある。上手く巻き込んでいけたら」と語り、食品ロス削減や生産者への還元・所得向上に意欲的に取り組む姿勢を示しました。

文:一橋正浩
(写真提供:東武鉄道)