乗り上がり脱線のメカニズム

松本最高顧問が公開した、交通研の実験装置を使った乗り上がり脱線のメカニズム画像。

日本側からはもう1人、松本陽鉄道工学リサーチ・センター最高顧問・上席研究員の研究報告が注目を集めました。松本最高顧問は交通安全環境研究所(交通研)から、国の運輸安全委員会に転じて鉄道部会長を務め、退官後は大学で研究を継続します。専門は脱線メカニズムの解明で、交通研の実験装置で撮影した映像を見せながら、車輪のフランジ(つばの部分)がレールに上がる乗り上がる脱線のメカニズムを説明しました。

台湾の民間からは、サイノテック・エンジニアリング・コンサルタンツの孫千山博士が、時間帯に応じた座席予約システムを提案しました。例えば、朝夕のラッシュ時は特急料金を高く、空いている早朝・夜間や昼夜間帯を安くすれば、ラッシュの混雑が緩和できます。ビッグデータのサービス・営業分野への応用と位置付けらます。

このほか鉄道工学リサーチ・センターからは、中村英夫名誉教授が信号システム、富井規雄総合技術研究所教授が鉄道ダイヤを説明。両教授はともに鉄道総研出身。富井教授は台湾国立大と長年にわたる交流があり、それが国際ワークショップのきっかけになりました。台湾側からは、国立台湾海洋大学の許維倫准教授の発表もありました。日大鉄道工学リサーチ・センターは引き続き、2021年11月に予定される7回目の「鉄道技術展」で、国際会議の開催を計画しています。

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文:上里夏生
(写真はいずれも中継画面を筆者本人がキャプチャしたもの)