空調は「冷房」から「全自動」まで5段階

高温多湿の日本で、絶対に必要なサービス機器が空調装置。銀座線と丸ノ内線を除くメトロ各線は、屋根上集中型の空調装置を搭載します。新鋭車両は、冷房能力を既存車両に比べて2割程度アップ。最近は地球温暖化やヒートアイランド現象のせいか、真夏の猛暑が続きますが、そんな時も快適に乗車してもらうための取り組みです。

メトロで特殊なのが銀座線と丸ノ内線。ファンの皆さんには説明不要と思いますが、両線は第三軌条方式でパンタグラフがなく、屋根上に他線区のような大型のクーラーを載せるスペースが取れません。丸ノ内線の新鋭2000系は、従来に比べ2割ほど厚みを抑えた埋込み型の空調装置を分散搭載します。

屋根板に本体を埋め込んだ丸ノ内線2000系の空調装置。(画像:東京メトロ)

メトロの空調は、「冷房」「除湿」「暖房」「送風」「全自動」の5段階。資料に載っていない話ですが、メトロは車内放送で「現在は除湿を使用しています」など、空調がどんなレベルかを案内。感じ方が人それぞれに違って設定が難しい、空調の状態を放送で案内して意識してもらう取り組みです。

コロナ対策も万全

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続いて、東京メトロの新型コロナ対策。同社は2020年7月から、保有全車両への抗ウィルス、抗菌コーティング処置を実施しています。原則15日ごとで、月2回のペース。

車内換気に関しては鉄道総研の実験結果も出ていますが、メトロは自社でも換気の効果を実測。1車両2カ所の窓開けと空調使用、駅でのドア開けで、8分ごとに車内の空気が入れ替わることを確認しています。

自然な姿勢でくつろげるJR東海のN700S

東海道新幹線N700S確認試験車(写真:鉄道チャンネル編集部)

車両の快適性はJRや私鉄各社もそれぞれ追求するところですが、詳しい紹介は別の機会に回し、ここでは東海道新幹線の快適性追求に絞って取り上げます。JRグループで快適性を追求した次世代車両のモデルといえるのが、2020年にデビューしたJR東海の東海道新幹線「N700S」です。

普通車で特筆したいのが、座席のリクライニングシステム。従来は背もたれが後ろに倒れるだけでしたが、N700Sは座面も連動して沈み込み、より自然な姿勢でくつろげるようにしました。

N700S座席リクライニング時の様子(写真:鉄道チャンネル編集部)

バリアフリー対応では、国のバリアフリー法に基づく整備ガイドライン改定を機に、N700Sのフリースペースを拡大。同様のフリースペース拡大は、JR東日本も実施します。