※2021年4月撮影

トップ画像は、JR九州日豊本線下ノ江駅。

どうです?

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「これが木造駅舎」という佇まい。やはり古い木造駅舎が好きで撮影していますから嬉しくなります。

駅舎の南側から。駅の周囲は山です。

※2021年4月撮影

レンタカーを駅の南側の駐車場に駐めました。駅舎の前に赤い鳥居が並んでいます。

※2021年4月撮影

下ノ江鳥越稲荷大明神です。少し古い写真を見ると鳥居の周囲には鬱蒼と大きな木々が並んでいました。こんなに明るい陽光を浴びてはいなかったのです。

※2021年4月撮影

下ノ江鳥越稲荷大明神縁起。抜粋します。

※2021年4月撮影

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大正の始め当地に鉄道建設工事が着手され鳥越の山岳を掘ることになったので請負人が、山狐の巣窟に出向いて立退き方を哀願した後工事に入ったのですが、不慮の災厄が続出し死傷事故が相次ぎ発生したので、作業員は恐れをなして日毎に減少し、工事中断の事態となってしまいました。関係者は驚き、近くの原野に稲荷大明神を奉祀したところ、災害はたちまち止まり作業員も次々復帰し、工事も進捗して大正四年八月十五日、下ノ江駅が開業できました。ところが、開業後は祭祀をする人もいなかったので、稲荷大明神のホコラは荒廃して、山狐は再び悪事をはたらきだして災害は増加してゆきました。工事の際に構築された下ノ江駅構内と、近辺の人家でそれらを呪うように深夜怪火が飛びかい妖魔出没して、駅員および付近住民の災厄が頻発し、旅客公衆の死傷事故も相次ぎ変死病死と思われるものが21名にもおよびました。当時の武田一郎駅長は、深く心をいため稲荷大明神を奉祀することによって必ず災厄がなくなることを信じ、駅前空地に高さ六尺余りの石台を建て、昭和五年十一月三日の佳節を期し盛大な開眼の式を挙行、あわせて犠牲者に対しても供養を行いました。その日以後災厄は全然あとをたって関係者の健康も回復しました。それ以後毎年十一月三日に祭典を行い、今日に至っております。

下ノ江鳥越稲荷世話人

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読んでいるだけでゾクゾクする面白い内容です。「深夜怪火が飛びかい妖魔出没」ですよ! 私はホラーは大嫌いですが、水木しげるさんの鬼太郎の様な怖くないファンタジーが好きなんです。

キレイな鳥居とお稲荷様にご挨拶します。

※2021年4月撮影

駅舎を眺めます。

※2021年4月撮影

北側から。駅舎出入口上の切妻屋根と手前部分の瓦は新しく葺かれています。

※2021年4月撮影

屋根以外は、特に改修などの手が入っていない様です。

※2021年4月撮影

駅舎出入口。上にかかる駅名も少し前の写真とは異なって木の板に手書きです。「日豊本線 百年木造三駅舎 臼杵市」のノボリがあります。臼杵市内にある下ノ江駅(大正4年)と熊崎駅(大正9年)、上臼杵駅(大正6年)です。いずれも【木造駅舎コレクション】で撮影しました。

※2021年4月撮影

駅舎に入ると正面が島式ホームに渡る跨線橋への通路になります。

※2021年4月撮影

次回はさらに大正4年の駅舎をじっくり眺めます。

(写真・文/住田至朗)

※木造駅舎などJR九州さんの許可をいただいて撮影しています。

※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)他を参照しています。

※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいているものです。ありがとうございます。