これだけ景色がめまぐるしく変わり、急勾配と急カーブ、越境が連続する特急もそうそうない。

国鉄時代には、本州の半分ほどを12時間以上かけて走る特急も存在したけど、いまとなっては、所要時間2時間半のこの特急も「一度は乗ってみたい劇場型特急列車」のひとつかも―――。

岡山と高知を結ぶ、特急 南風。

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2021年ダイヤ改正では、岡山~高知を1日14往復。途中停車駅は、児島・宇多津・丸亀・多度津・善通寺・琴平・阿波池田・大歩危・大杉・土佐山田・後免。大杉は朝や夜などの一部列車が停車する。

越境気動車特急 南風は、岡山を出ると、まずキラキラの瀬戸内海を渡り、四国へと越境。会社的にも越境し、児島でJR西日本からJR四国の乗務員へと交代する。

最初の山越えは、香川・徳島の県境にある讃岐山脈越え。秘境駅といわれる坪尻駅のスイッチバック構造が一瞬みえて、急勾配と急カーブの山道を行く。

川崎重工業製efACEボディの2700系気動車が、制御付き自然振子をきかせながら、吉野川沿いの山間の街、阿波池田を過ぎていくと、また次の山越え。

2700系はペースを落とさず、吉野川がつくる谷に沿って、急勾配と急カーブの連続する道を駆け抜け、徳島・高知の県境を越境する。

大杉の手前で、車窓は吉野川から穴内川へ。こんどは、JR四国最高地点の繁藤へむけて、急坂と急カーブを駆けていく。

繁藤を越えると、高知市街へむけて一気に下り坂―――。

本州から四国へ、瀬戸内から太平洋へ、県境や会社境界を越え、海や山を縫うように走る―――越境気動車特急 南風。

特急うずしお(岡山~徳島)や特急しまんと(高松~高知)との併結・分割もあって、鉄道好きは休むひまがない。

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