東急東横線を走る横浜高速鉄道Y500系電車

新型コロナが鉄道事業者に与える影響は、路線の性格によって微妙に異なる。通勤路線とレジャー路線の2つの役割を担う、横浜のある鉄道の場合――。

みなとみらい線を運行する横浜高速鉄道の2020年度営業概況がまとまり、利用人員は前期に比べマイナス35.4%と大きく減少した。新型コロナで外出自粛が呼び掛けられたほか、横浜みなとみらい21地区の企業でテレワークが普及した影響が大きかった。みなとみらい線の利用客は増加傾向を続けてきたが、2020年度は2016年度以降の5年間で最低に終わった。

定期19.6%減、ICカード乗車券などで利用した定期外50.5%減で、定期外は前期の半分弱にとどまった。みなとみらい線沿線には、横浜みなとみらい21地区のほか、横浜赤レンガ倉庫、横浜港大さん橋、横浜中華街、元町ショッピングストリートといったレジャー施設が多く、その分打撃が大きかった。

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35.4%の減少率は、日本民営鉄道協会がまとめた大手民鉄16社の2020年度旅客輸送実績と比較してもマイナス幅が最大。みなとみらい線のレジャー路線としての性格を物語る。

駅別で利用が最も多いのは東急東横線と接続、JR、京浜急行電鉄などとの乗換駅になる横浜駅。みなとみらい、元町・中華街、馬車道、日本大通り、新高島の各駅が続く。

横浜高速鉄道の2020年度決算は、営業収益79億8100万円、営業損失23億9800万円、経常損失35億800万円、当期純損失34億7500万円。前期の当期純損益は7億5000万円の黒字、コロナの1年間に40億円以上収支悪化した。

文:上里夏生
イメージ写真:ニングル / PIXTA