コラム【鉄の余談】32 廃止された札沼線に乗りました②
※2015年3月撮影
2015年3月、JR北海道札沼線石狩当別駅ホーム。新十津川駅からの始発列車(9:41発)が到着。
キハ40 401です。
札沼線非電化区間用にキハ40 769(キハ40 159をワンマン化して改番)を改造・改番した車両。オリジナルのディーゼル・エンジン220PS/1,600rpmを450PS/2,000rpmという出力が倍以上の強力な機関に換装しています。
残念ながら、もう一台同じ改造を受けたキハ40 402とともに2023年3月に廃車・解体されました。
行先表示は、学園都市線です。
※2015年3月撮影
石狩当別駅には初めて来ました。駅名標の横は「開駅 昭和9年11月20日」の銅板。
※2015年3月撮影
石狩当別駅は、1943年(昭和9年)開業。2022年(令和4年)当別駅に改称されました。
この日は、LCC(Low-cost carrier)つまり格安航空会社で早朝の成田空港から新千歳空港に到着。札幌に移動、札沼線北海道医療大学行に乗って石狩当別駅で下車しました。
石狩当別発11:15の新十津川行が来ました。
※2015年3月撮影 オリジナルが4:3です
キハ40 819の1両で新十津川駅に向かいます。
混雑緩和対策でシートが2+1人掛けに改造された車両でした。車内は空いていましたから皮肉です。
このキハ40 819も、2021年8月に廃車・解体されました。写真に写っているキハ40系の多くが現存していないのは、淋しい限りです。
※2015年3月撮影
石狩当別から1つ目、北海道医療大学駅に到着。駅名標に駅番号があります。
※2015年3月撮影
駅は、比較的新しく、1981年(昭和56年)大学前仮乗降場として開業。1982年(昭和57年)駅に昇格。1995年(平成7年)北海道医療大学駅に改称。
2016年9月は、新十津川駅から北海道医療大学駅まで始発にして終電に乗ってきました。この時は、石狩当別行からこの駅で下車。乗って来たキハ40 402。既述の様に廃車され現存しません。
※2016年9月撮影
その時撮った北海道医療大学駅。右に進むと北海道医療大学に直結しています。
※2016年9月撮影
2016年は、北海道医療大学から、721系電車で札幌に向かいました。
※2016年9月撮影
北海道医療大学駅から先は非電化区間。架線が、無くなります。
※2016年9月撮影
2015年3月、同じ場所の後方展望です。
※2015年3月撮影
2.2kmで石狩金沢駅。3月とは思えない雪景色。
※2015年3月撮影
駅名標。この時点で駅番号がありませんでした。JR北海道は廃止する予定なのかな、と筆者は思ってました。
※2015年3月撮影
駅は、1935年(昭和10年)開業。1944年(昭和19年)太平洋戦争激化で札沼線石狩当別駅~浦臼駅間が不要不急路線として休止。駅も休止されました。1946年(昭和21年)同区間営業再開にともない駅も営業再開。2020年(令和2年)5月北海道医療大学駅~新十津川駅間廃止で駅も廃駅になっています。
1881年(明治14年)樺戸集治監(当時の刑務所)が原野に作られました。この集治監の看守長がこの地に道路を開いた時に地名が無いと不便なので自らの出身地に因んで金沢と呼んだという地名(駅名)の起源が『北海道 駅名の起源』(日本国有鉄道北海道総局/1973年)に書かれています。
2016年9月のほぼ同じポジションの写真。駅舎前に、かつての木造駅舎の基礎らしきものが残っています。
※2016年9月撮影
2019年6月にレンタカーで訪問した時の駅舎正面。駅名標の北海道医療大学が上書きされているのは、1995年まで大学前という駅だったからです。
※2019年6月撮影
単式ホームと駅舎。奥は新十津川方面です。
※2019年6月撮影
石狩金沢駅の跡は、既に貨車駅舎が撤去されています。
札沼線の運転本数が少ないので、鉄道移動で各駅に降りて撮影するのは現実的ではありません。特に浦臼駅~新十津川駅は、1日1往復しか運転されませんから7駅を撮影するためダケで数日かかります。そこでレンタカーを使って効率的に駅を回ろうと考えました。
石狩金沢駅から4.5kmで本中小屋(もとなかごや)駅。駅舎は雪の中。
※2015年3月撮影
駅名標。
※2015年3月撮影
雪が無いと、こんな風景です。
※2016年9月撮影
中小屋駅は、1935年(昭和10年)開業。石狩金沢駅と同様に戦時中、休止、戦後1946年営業再開。2020年5月札沼線非電化区間廃止にともない廃駅。
中小屋という地名は、石狩金沢同様に樺戸集治監(当時の刑務所)の囚人たちが原野に月形~当別間道路を建設した際、その中間点に囚人を収容する小屋を作ったことによるとのこと。
2016年9月は、新十津川駅から石狩当別行に乗ったので本中小屋駅の前面展望。奥が石狩当別方面。老夫婦がホームで待っていました。
※2016年9月撮影
駅舎正面。ここにも有人駅時代の駅舎基礎が残っています。
※2019年6月撮影
貨車改造駅舎。
※2019年6月撮影
名所案内。
※2019年6月撮影
中小屋温泉は、駅から西に行った場所にあります。町営スキー場は、マップでは見あたりませんでした。
駅名標等と同様に貨車改造駅舎も廃止後撤去されています。
次回は、中小屋駅です。
(文・写真) 住田至朗
※過去の写真はライター住田がプライベートで旅をした時のスナップ写真です。
※『JR路線大全 北陸・信越本線』(天夢人/2023)『国鉄の基礎知識』(創元社/2011)『停留場変遷大事典』(JTB/1998)『JR全駅・全車両基地』(週間朝日百科/60巻)『北海道 駅名の起源』(日本国有鉄道北海道総局/1973年)他を参照しています。
※鉄道、駅などは鉄道会社、利用者の皆様のおかげで撮影させていただいています。ありがとうございました。