旅行業界の苦境脱出は鉄道旅行から プロが評価するツアーは? 鉄旅オブザイヤーで「鉄印帳の旅」にグランプリ【コラム】

2021.06.27

鉄博の新幹線の前で受賞者全員で記念撮影。右側は特別審査員を務めた鉄道好き芸人のダーリンハニー・吉川正洋さん、鉄道好きプロダクションマネージャーの南田裕介さん(後列)、女子鉄アナウンサーの久野知美さん(写真:鉄旅オブザイヤー2020事務局)

コロナ禍で苦境に立たされる業界の一つに旅行業界が挙げられるでしょう。最大手のJTBの2021年3月期決算は連結売上高が前期比71%減の3721億円で、最終の当期純損益は1051億円の赤字(1億円未満切り捨て)。決算を開示した2000年度以降の最低値で、山北栄二郎社長は「役員報酬減額や人員削減など断腸の思いで乗り切る」と述べました。

苦境脱出に妙手はないのですが、こんな時こそ求められるのが市場に受け入れられる商品の造成。コロナ前、空前といわれたブームに乗って好調だった鉄道ツアーは、有望分野の一つといえるでしょう。今回は「旅行会社の鉄道ツアー」をテーマに、前半は「鉄旅オブザイヤー2020」にみるヒットツアーのヒント、後半は鉄道ツアーを得意とする日本旅行とクラブツーリズムに取材して、一押しツアーを推薦してもらいました。

10回目を迎えた「鉄旅オブザイヤー」

「鉄旅オブザイヤー」は、旅行会社が企画・催行した鉄道ツアーを審査する顕彰制度です。鉄道ツアーというとJRグループや大手私鉄が相次いで送り出す観光列車を思い浮かべますが、鉄旅で表彰するのはハードの列車ではなく、ソフトとしてのツアー。乗車するのはたとえ普通車両でも、現地でのメニューを工夫してオンリーワンの体験ができるツアーです。

鉄旅の表彰セレモニーは例年1~2月に開かれますが、2021年はコロナ禍で延期。通常より2ヵ月遅れて4月21日、さいたま市の鉄道博物館で開催されました。感染拡大防止で取材にも制限が掛かり、紹介が遅れたことをお詫びします。本稿は、事務局から取り寄せた資料を基に、旅行会社にも追加取材してコラムにまとめました。

選考対象は、2019年11月~2020年10月に販売・催行された鉄道ツアー。雑誌「旅と鉄道」の芦原伸名誉編集長(審査委員長)、交通新聞社「旅の手帖」の五十嵐匡一編集長、シンガーソングライターのオオゼキタクさんら、鉄道のプロが審査しました。

「『鉄印帳』付き・みちのく鉄道周遊」がグランプリ

そろいのユニフォームで鉄旅のグランプリを受賞した「鉄印帳ツアーチーム」(写真:鉄旅オブザイヤー2020事務局)

応募45作品から最優秀賞のグランプリに選ばれたのは、読売旅行、日本旅行、読売旅行出版社、第三セクター等鉄道協議会(三セク協)の4者(社)が共同企画した、「三セク鉄道のオリジナル印〝鉄印〟がもらえる『鉄印帳』付きツアー・9つの列車をツナグ!みちのく鉄道周遊」でした。

2020年10~11月に催行されたツアーは東京(上野、大宮)発の2泊3日で、東北新幹線で一ノ関に向かった後、JR線と三セク鉄道を乗り継いで北東北をめぐります。三セクで乗車するのは三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道、秋田内陸縦貫鉄道の3社。各社で鉄印をもらえます。

鉄旅オブザイヤー2020会場で発表されたツアーの様子(写真:鉄道チャンネル編集部)

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