国土交通省の諮問機関 交通政策審議会は、2021年7月に提出した「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」答申で、有楽町線 延伸、品川・臨海部 地下鉄構想などについて今後の方向性を示し、東京メトロの役割を踏まえた株式売却のあり方についても提示した。

◆有楽町線 延伸、品川&臨海部 地下鉄構想_交通政策審議会 答申で前進
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この答申で交通政策審議会は、東京8号線 有楽町線の延伸と都心部・品川地下鉄構想について、東京メトロのネットワークとの関連性があり、運賃水準や乗換利便性など利用者サービスの観点や整備段階での技術的な観点からも、東京メトロに対して事業主体としての役割を求めることが適切と伝えた。

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また、東京メトロは、これまでの累次の閣議決定や東京地下鉄株式会社法において完全民営化の方針が規定されていることを踏まえ、株式上場を目指した経営方針を堅持し、多額の設備投資を伴う新線整備に対して協力を求めるにあたっては、東京メトロの経営に悪影響を及ぼさないことが大前提であることも伝えた。

こうした点から、東京8号線 有楽町線の延伸と都心部・品川地下鉄構想のいずれも、社会的・経済的見地からの必要性により整備が行われるものであり、受益と負担の関係も踏まえ、十分な公的支援が必要とも示した。

「東京メトロ株式の確実な売却が必要」

東京8号線 有楽町線の延伸は、既存路線の混雑緩和に資する路線であるいっぽう、路線需要の一部は東京メトロ既存路線の乗客が転移することにより生じると想定され、東京メトロの経営全体への影響も精査した上で、支援を検討する必要があるという。

こうしたことから、類似事例に適用実績がある地下高速鉄道整備事業費補助や、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による都市鉄道融資の活用が適切と、答申で交通政策審議会は伝えた。

また、上述のとおりこれまでの閣議決定や法律において完全民営化の方針が規定されていることを踏まえ、東京メトロが東京8号線 有楽町線延伸と都心部・品川地下鉄構想の事業主体になることが完全民営化の方針に影響を与えないよう、事業主体となることと一体不可分のものとして東京メトロ株式の確実な売却が必要であるとも伝えた。