駅前の大木がゴッホの絵の様です【木造駅舎カタログ】紀勢本線36/205 稲原駅
※2020年12月撮影
トップ画像は、紀勢本線稲原駅。まず目に飛び込んできたのが駅舎前の大木。存在感が「半端ない」印象です。残念ながら木の種類は、知識の無い筆者には分かりません。
紀勢本線は、印南駅から印南川の削った谷に沿う様にほぼ北上して紀伊半島の山間部に入り込みます。稲原駅は印南川が作った谷の広くない平地にあります。右奥の灰色瓦屋根は新しく作られたトイレ。しかしゴッホの絵の様な木の姿。(笑)
※2020年12月撮影
稲原駅は、1930年(昭和5年)国有鉄道紀勢西線の駅として開業。元来、紀勢西線は稲原を通らない予定であったのを当時の稲原村の村長が鉄道省に請願することで駅ができたそうです。
筆者が子供の頃に習ったのは、「近代化のシンボルであった鉄道建設」に対し「前近代的な住民が反対した」ことで、歴史のある街道・宿場では無い場所を鉄道が通り駅が作られました。そのことで古い宿場などは衰退した。いわゆる「鉄道忌避伝説」ですが、最近は「実態はむしろ逆であった」という説が一般的になってきたようです。
稲原駅は、1959年(昭和34年)に全通した紀勢本線の所属駅になります。1985年(昭和60年)駅は無人化。1987年(昭和62年)国鉄分割民営化でJR西日本の駅になりました。
駅舎は、窓などがアルミサッシに交換され壁面も塗装で改修されています。左には板で塞がれた窓口跡があります。駅舎の前は月極有料駐車場。
※2020年12月撮影
待合室には周囲に作り付けの平らなベンチがコの字形になっていて、キレイな手製の座布団が並べられていました。シャッターの閉じられた窓口も残っています。改札口にはICカード簡易改札機が設置されていて、小型液晶板の運行情報ボードがありました。
※2020年12月撮影
駅出入口。以前の写真を見ると出入口には庇がありましたが撤去されています。左の使われていない事務室部分には庇があるのに・・・。強い雨が降っているときは傘をさす間に濡れてしまいそうです。
左に逓信省コンビ。電話ボックスと郵便ポストの向き(投函口がどちらを向いているか)に何か法則性があるのか気になっているのですが、分かりません。この駅はどちらも右向きです。
奥に上りホームに上がる階段があります。下りホームには構内跨線橋で渡ります。下りホームの駅名標が見えています。(見える様に引き戸を開けて撮影しました)
※2020年12月撮影
※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。
(写真・文章/住田至朗)