「この列車は、特急 あずさ13号 松本行きです。この列車は全車指定席で、本日は満席です。10時ちょうどの発車です。あと2分少々で発車します」

11月20日、東京・山梨は快晴。10時ちょうどに新宿を出た特急 あずさ13号 13M は、新宿を出て30分後の八王子でほぼ満席に。

土曜日の10時発とあって、車内はほぼ行楽客。車内ワゴン販売も販売好調なのか、仕事場の小淵沢へ行くまでの2時間弱の間で、1回しか姿をみかけなかった。

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八王子からは立席客も現れ、デッキにも人の姿が。1日のコロナ感染者が東京は2桁台になったせいか、爆発的な“戻り”を感じる。

小淵沢駅から仕事現場まで、1時間ほどあるってことで、名物 駅そば―――丸政の山賊そば(480円)を注文。

新宿10時ちょうど発の特急あずさが小淵沢に到着するのが11時52分ということで、この丸政は、昼ごはん客で大行列。これをひとりの男性スタッフがさばくから、たいへん。

ちょっと待って出てきた山賊そばは、甘くもなく辛くもない絶妙な塩加減のつゆのうえに、信州名物「山賊焼き」がどーんと横たわる、インパクト大のビジュアル。ネギもざっくり太切りで、食感にアクセントがあっていい。

そばのうえに横たわる、しょうゆ系のたれに漬け込んだ鶏もも肉の唐揚げが、山賊焼き絶妙なスープにあう。食べても食べても減らないという感じのボリュームと塩味で、つるっとした信州そばもすすむ。

丸政 小淵沢店のいいところは、なんといっても眺め。休憩室からは、線路越しにみごとな八ヶ岳の山容が拝める。

しかもこのボリュームだから、昼に食べると晩ごはんまで何も手が出せないほど、満腹。

―――八ヶ岳ビュー絶景つき駅そば店で、山賊に襲われるしあわせ。

大正時代創業の駅弁屋老舗 丸政は、富士見駅ホームで駅弁の立ち売りを始めたのがルーツ。

駅弁の立ち売り姿は消えたけど、いまも観光客が気軽にふらっと立ち寄れる間口の広さは、変わらない。

新宿10時ちょうど発の特急あずさ13号で小淵沢に降りた客のうち、2割が小海線のりばへ、8割が改札口へという感。その8割のうち、2割ほどの20人以上が、きょう昼の丸政に並んだ。