正式名称は箱根登山鉄道鋼索線

箱根登山鉄道と箱根登山ケーブルカーが接続する強羅駅は山小屋風の駅舎です

後編は、登山鉄道終点の強羅駅からダーツの旅ならぬMaaSの旅を始めます。強羅駅は、登山鉄道とほぼ直角にケーブルカー駅があります。ケーブルカーの正式名称は「箱根登山鉄道鋼索線」で、開業は大正年間の1921年。日本のケーブルカーでは、近畿日本鉄道の生駒ケーブル(生駒鋼索線)に続き2番目に長い歴史を持ちます。

強羅駅で発車を待つ箱根登山ケーブルカー。2021年の開業100周年をアピールする「100th ANNIVERSARY」のヘッドマークをつけます

路線は強羅―早雲山間の1.2キロで、途中に公園下、公園上、中強羅、上強羅の4駅があるのがケーブルカーでは珍しい点。中強羅駅や上強羅駅は車両の両側にホームがあり、左右両方のドアが開きます。ホームをわたる踏切や跨線橋はなく、降りるホームを間違えないよう、車内放送で注意をうながします。

延長約4キロ、およそ25分間の空中散歩

早雲山駅からが箱根紀行のハイライト。芦ノ湖畔までの空中散歩が待ちかまえます。箱根ロープウェイ(小田急箱根ホールディングスの子会社)は1959年4月に設立され、その年の12月に早雲山―大涌谷間、翌1960年9月に大涌谷―桃源台間が開通して、早雲山―桃源台間が全通しました。

早雲山駅に停車中の箱根ロープウェイ。駅では完全に停車するので、車いすでも安全に乗り降りできます

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日本のロープウェイでは最長で、「複式単線自動循環式(フニテル)」と呼ばれる方式を採用しています。ゴンドラが両腕を伸ばして2本のロープにぶら下がるスタイルで、風に強いのが特徴です。

箱根ロープウェイはバリアフリー化に力を入れ、車いすのままでの乗車が可能に。人にやさしい移動の取り組みが評価され、2008年に第2回「国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰」を受けています。2009年7月には、ギネスブックからゴンドラ・リフト部門で乗車人員世界一に認定されました。

2020年9月に全線開通60周年を迎えた箱根ロープウェイからは、最近も安全運行のための設備投資や設備更新、訪日外国人に向けた多言語対応サービスといったニュースが発信されています。