実証実験でのデジタルサイネージ表示イメージ(画像:日立製作所)

コロナ禍をきっかけとしたニューノーマル(新しい常態)への対応を鉄道各社が探るなか、JR東日本は移動と働き方改革を兼ねそなえた、新しい「マッチングサービス」の可能性を探る実証実験に、異業種企業と共同で取り組んでいる。

JR東日本、日立製作所、野村不動産の3社は、列車運行情報と駅近隣のテレワークスペースの利用情報を、一元的に提供してビジネス化するための社会実験を始めた。実験期間は2022年2月3~28日。

ウィズコロナの社会では、オフィスに出社することなく駅近隣や出張先のシェアオフィスでテレワークするといった、場所にこだわらない働き方が一般化する。

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実験に参画する3社のうち、JR東日本は列車運行情報をシェアオフィスなどで提供、鉄道の利用促進に役立てる。野村不動産は、シェア型サテライトオフィス「H1T」の事業化に力を入れており、JR東日本との協業で競争力を強化する。

両社と一般利用者をつなぐのが、日立のマッチングサービスや電子掲示板のデジタルサイネージ技術。日立ケーイーシステムズのデジタルサイネージ技術「MediaSpace(メディアスペース)」で、リアルタイムの運行情報を表示(実験期間中は固定表示)。実験結果は、同じグループの日立コンサルティングが検証する。

サイネージやスマートフォン経由で提供を予定するのは、最寄り駅の遅延・運転見合わせといった列車運行情報のほか、近隣レストランの割引情報など。マッチングサービスでは、空席のあるワークスペースを案内する。将来的には観光や宿泊情報の配信を目指す。

空席のあるワークスペースを探すスマホの検索機能イメージ(画像:日立製作所)

実験対象は秋葉原周辺のシェアオフィスが中心で、野村不動産の「H1T秋葉原」、JR東日本の「ホテルメッツ秋葉原」、秋葉原ダイビルなど。秋葉原以外では、新宿プリンスホテルの情報も発信する。実験参加者は日立グループの従業員約100人。3社はシェアオフィス以外にも、さまざまな施設への事業展開の可能性を探る。

記事:上里夏生